研究課題/領域番号 |
19K05438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村藤 俊宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40253140)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アズレン / 非交互共役系炭化水素 / 典型元素 / ボリン酸 / お椀分子 / 光機能性 / π曲面 |
研究開始時の研究の概要 |
通常の有機分子は励起状態S1から発光するのに対し、アズレンは励起状態S2から発光する稀な分子である。蛍光量子収率こそ低いが、アズレンのS2発光は分光学的にとても珍しく、現在でも数多くの物理・有機化学者を魅了している。本研究では、このようなアズレンの珍しい光化学特性に着目し、複数のアズレンユニットを連結して中心部に様々な典型元素を配置させたサブポルフィリン型お椀型分子を合成し、金属中心となる典型元素の違いが光機能特性に及ぼす効果を明らかにする。
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研究成果の概要 |
置換基を有するジアズレニルボリン酸エステルを分子内配位結合の形成によって安定化することで、単離とX線結晶構造解析に成功した。ホウ素原子は4配位構造を有し、正四面体性の尺度であるTHCの値は85%であった。ジアズレニルボリン酸とエステルとの比較により、アズレニル基におけるπ分極は分子内配位によって弱まることがわかった。ホウ素原子上に生じた負電荷と負に分極しているアズレニル基の5員環部との静電的反発やボレートからの電子供与が原因と考えられる。アズレニル基間の分子内架橋反応とホウ素上での置換反応により、環状トリアズレニルボランの合成に成功し、X線結晶構造解析により分子構造を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナフタレンのような2個のベンゼン環から構成される交互共役系の芳香族化合物とは異なり、アズレンは奇数の5員環と7員環が縮環した非交互共役系の芳香族炭化水素である。このような非ベンゼン系の芳香族化合物から構成される有機分子は、ベンゼン系に比べて芳香族共鳴安定化エネルギーが小さく、特異な物性の発現が期待できる。本研究では、ベンゼン系化合物に比べて合成法の開発が進んでいなかった非ベンゼノイド化合物について、その電子的な特異性を活かした新奇な分子を合成するための方法論を開発し、今後の有機エレクトロニクス分野への貢献を目指す。
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