研究課題/領域番号 |
19K05446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
岩永 哲夫 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (40454805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 多環式芳香族化合物 / 含窒素パイ共役系 / カルバゾール / アントラセン / 酸化的環化反応 / クロスカップリング / X線結晶構造解析 / 電子スペクトル / パイ共役系 / パイ共役 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,これまでに我々が開発した窒素で連結したパイ共役系誘導体の電子特性を手がかりにし,酸化的環化反応を鍵反応に用いて新奇な構造を持つ含窒素拡張パイ共役系化合物の自在合成に取り組む.また合成した含窒素拡張パイ共役系の光学物性と構造評価および励起状態と酸化状態の物性解明も行う.得られた知見から電子特性と分子構造の相関を明らかにし,正孔輸送材料など新規機能性材料への応用を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究では,フレキシブルな配座を有するパイ共役系化合物に対して,酸化剤や濃度など適切な条件を設定した酸化的環化反応を用いることで,位置選択的な酸化的縮環反応の実現を目指した.今回,2つのカルバゾールを窒素架橋した前駆体を設計し,酸化反応を検討したところ,らせん構造などの新奇な分子構造を持つ含窒素多環式芳香族を自在に合成することができた.この反応機構は,電子スペクトルとDFT計算の結果から従来型のラジカルカチオン種経由ではなく,ジカチオン種を経由していることを明らかにした.本研究課題を進めることで,酸化的環化反応の選択性を活かした新たな分子デザインの創出とその反応指針を確立することができた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開発した酸化的環化反応を利用して,単一の前駆体から複数の新奇構造を有するパイ共役系の構築に成功した.複数の生成物を選択的に合成できることで,多種多様な誘導体を合成する際に,前駆体の合成まで立ち返るという従来の開発手法を見直すことができる.このことから合成実験に係る環境負荷を軽減でき,積極的な材料開発が展開できると考えられる.今後,開発した合成手法を利用することで窒素ドープナノグラフェンなど電子豊富な拡張パイ共役系の構築とそれらを利用したスピンエレクトロニクス分野や高効率な正孔輸送能を有する有機機能性材料の安定供給など,材料科学分野へも大きな波及効果があると考えられる.
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