研究課題
基盤研究(C)
本研究では燐光を発する官能基(具体的には白金錯体)を芳香環側鎖に導入した光学活性芳香族4級シランを合成することで強輝度のCPL材料を開発する。これらは固体状態や薄膜状態における金属-金属間の分子間相互作用の強度が外部環境によって変化すると予測されるので、外部刺激応答性CPL材料への展開が可能である。微弱な圧力変化、温度変化など外部刺激でCPL特性が変化する分子を開発し、内視鏡へ導入すれば3次元映像手術に展開できるので医療分野へも貢献できる。本研究が成功すると単純分子から手軽に高性能3次元映像を作り出すことができ、その波及効果は大きい。
円偏光発光性化合物はこれまでにアトロプ異性体やπ共役高分子などの凝集状態での研究報告が殆どであり、単分子状態で良好な結果を示す例はあまり知られていない。一方、π共役置換基が結合した有機ケイ素化合物は良好な発光特性を示すものが多い。不斉ケイ素原子にπ共役置換基を結合させれば、不斉ケイ素原子を介してキラルな共役系を構築することができるために、単分子状態で高性能円偏光発光特性を示すことが期待できる。本研究では、新しい不斉ケイ素原子の構築法に立脚した、単分子状態で良好な蛍光量子収率と円偏光発光特性を併せ持つ光学活性ケイ素化合物を合成・検討した。
(1) ランタノイド錯体やアトロプ異性体は多工程合成経路であるのに対し、本研究における合成方法は単工程反応である。 (2) 反応で使用する基質が容易に入手できる。本研究における触媒的不斉カップリング反応では配位子の不斉源が安価な酒石酸由来であり、どちらの光学活性体も入手可能であるので、(R)体、(S)体両方の不斉ケイ素原子を構築できる。 (3)従来の円偏光発光材料では高蛍光量子収率、もしくは高円偏光発光特性のどちらかしか満たすことができなかった。本研究における化合物群は他グループの研究と比較し蛍光量子収率、円偏光発光特性のどちらも高い値を示すと期待できる。
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