研究課題/領域番号 |
19K05871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
安藤 宏 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30312094)
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研究分担者 |
Hossain M.Zakir 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (40792445)
北川 純一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50373006)
海野 俊平 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80418920)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 嚥下 / TRPチャネル / 喉頭 / 咽頭 / 上喉頭神経 / TRPA1 / TRPV1 / TRPM8 / TRPV4 / ASIC3 / Piezo1 / Piezo2 / 誤嚥 |
研究開始時の研究の概要 |
現在日本において高齢者の増加に伴い、嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎による死亡が増加している。これまでに私達は、咽頭・喉頭の感覚を支配する上喉頭神経に発現するTRPチャネルのTRPV1とTRPM8が嚥下誘発に関与していることを明らかにした。しかし、TRPチャネルには、嚥下誘発への関与について調べられていないチャネルが数多く残されている。本研究では以下の方法により、誤嚥を防ぐための食品開発につながる嚥下誘発機能をもつTRPチャネルのデータベースを構築する。 1)上喉頭神経におけるTRPチャネルの発現分布を免疫組織学的方法により調べる。 2)TRPチャネル阻害剤を用いて上喉頭神経応答および嚥下誘発の変調を検討する。
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研究成果の概要 |
嚥下誘発に関わる受容体を検索することを研究の目的とした。咽頭・喉頭領域の感覚を支配しているラット上喉頭神経において冷刺激やワサビ刺激に応答するTRPA1チャネルの発現を免疫組織学的に調べた。TRPA1免疫陽性反応が、中程度から小型の細胞体をもつ感覚神経に観察された。咽頭・喉頭領域へのTRPA1チャネルのアゴニスト(AITC:ワサビの成分)による化学刺激が嚥下誘発を亢進し、TRPA1アンタゴニストはこの嚥下促進効果を減弱した。冷却生理食塩水では嚥下誘発の促進効果を示さなかった。以上から嚥下時の咽頭・喉頭領域における化学感覚の一部は上喉頭神経のTRPA1チャネルを介して受容されていると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
飲食物を飲み込む時の咽頭・喉頭領域の感覚は上喉頭神経に受容される。この神経においてTRPA1チャネルが発現することを明らかにした。さらに、TRPA1の作動薬が嚥下を誘発することを明らかにした。これらの結果から咽頭・喉頭領域における感覚形成および嚥下誘発の神経機構の一端を明らかにすることができた。この成果は、高齢化社会を迎えた日本が抱えている社会問題でもある嚥下障害を解決するための、摂食嚥下リハビリテーションや嚥下食開発に貢献できる。
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