研究課題
基盤研究(C)
茎頂メリステムは少数の未分化な幹細胞と器官形成に必要な細胞を生み出す分裂細胞など複数の細胞種から構成される。本研究では、オオムギ茎頂メリステム内のすべての細胞を解析する基盤技術を作り上げるため、全細胞の位置情報を含む茎頂メリステムのアトラスの創出を目指す。具体的には、様々な条件下におけるオオムギ茎頂メリステムの1細胞解像度アトラスを創出し、それらに細胞体積・分裂活性・マーカー遺伝子発現といった細胞動態変化をマッピングすることで、オオムギにおいて花芽形成を制御する細胞(群)の特性を明らかにするとともに、とくに野外環境下の刻々と変動する環境に応じる茎頂メリステム内の細胞動態を明らかにする。
植物の茎の先端には「茎頂メリステム」と呼ばれる組織が存在し、そこから地上部のあらゆる器官が作り出される。茎頂メリステムは少数の未分化な幹細胞と様々な器官・組織へと分化する細胞など複数の細胞種から構成される。本研究では、イネ科作物の一つ、オオムギの茎頂メリステムの形態や活性を細胞レベルで解析する技術基盤の確立を目指し、茎頂メリステムを構成する全細胞可視化と画像解析による観察手法の最適化を行った。確立した手法を用いて、発生過程に伴う茎頂メリステムの形態変化や茎頂メリステムの機能の消失過程を1細胞レベルで明らかにした。
本研究では、様々な栽培環境における1細胞解像度のオオムギ茎頂メリステムのアトラス(地図)を創出した。これらの茎頂メリステムアトラスには、生理活性物質の局在や1細胞 RNA-seq 解析など様々な情報を書き込むことが可能である。今後、茎頂メリステムアトラスを用いることにより、茎頂メリステムに存在する全ての細胞を網羅的に分析することが可能となり、植物のボディプランの根幹をなす茎頂メリステムの1細胞レベルでの機能の理解につながることが期待される。また、本研究で確立した解析手法は他の作物にも利用可能であり、同様の解析基盤技術の整備の推進にも貢献できる。
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