研究課題/領域番号 |
19K06063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
世古 智一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (00360446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 生物的防除 / 放飼増強法 / 育種 / 人為選抜 / GUT / タイリクヒメハナカメムシ / 歩行活動パターン / 生物防除 / 飢餓耐性 / 近親交配 / 天敵の育種 / 害虫防除 / 採餌行動 |
研究開始時の研究の概要 |
天敵を利用した害虫防除において、害虫の発生初期に天敵を放飼すると餌が少ないため定着に失敗することが多い。そこで餌密度が低くても、その場をすぐに去らずに餌探索を続ける(すなわち「あきらめが悪い」)系統を育種することによって問題を改善できるかどうかについて、害虫アザミウマの天敵であるタイリクヒメハナカメムシで検証している。本研究課題では、育成した「あきらめが悪い」系統の有効性を評価するため、長期の人為選抜や餌密度が本系統の探索行動に関する特性に及ぼす影響を調査する。
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研究成果の概要 |
天敵の圃場での定着性を向上させるため、タイリクヒメハナカメムシを対象に餌場を去るまでの時間(Giving-up time: GUT)が長い系統(以下、選抜系統)を育成した。天敵のGUT延長による有効性を総合評価するため、選抜系統の各生態パラメータを調査し、非選抜系統と比較した。その結果、幼虫期の生存率、発育日数、体サイズ、産卵数は系統間で違いは検出されなかったが、害虫が低密度下での捕食効率および飢餓耐性については、選抜系統の方が高い傾向が見られた。本研究の結果は、本種において、育種によってGUTを延長することによる大きなデメリットは生じないことを示唆する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ABSによって国家間での遺伝資源の受け渡しが困難な昨今において、育種によって天敵の機能を強化することに注目が集まっている。しかし、どのような特性をターゲットにして改良すれば良いかが不明である事が多い。本研究では、放飼後の初期定着が不安定なタイリクヒメハカメムシを対象に、餌場に長く滞在して害虫を探索する特性を付与することにより、定着性が向上するだけでなく、捕食効率や絶食耐性が高まることを解明した。一方で、本特性の改良に伴う生存、発育、繁殖にかかるデメリットは検出されなかった。本研究は、今後の天敵の育種戦略を定める上で重要な知見をもたらす。
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