研究課題/領域番号 |
19K06074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大村 尚 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (60335635)
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研究分担者 |
藤井 毅 摂南大学, 農学部, 講師 (30730626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 乾燥ストレス / マメ科植物 / チョウ / 産卵 / 植物二次代謝産物 / 味覚受容体 / 寄主選択 / 植物昆虫間相互作用 / 植食性昆虫 / 水ストレス / 二次代謝産物 / ポリヒドロキシ酸 / 一次代謝産物 / ヒドロキシ酸 / オスモライト / 青酸配糖体 / 防御物質 / 昆虫 / 行動学 / 味覚受容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①植物の生理調節物質(オスモライト)がキタキチョウの産卵を誘導する、②オスモライトによる産卵活性には至適濃度が存在するという先行研究の知見に基づき、植物の乾燥ストレス抵抗性と虫害リスクにはオスモライトを介したトレードオフの関係があることを、本種の産卵選好性の観点から検証を試みる。また、キタキチョウがオスモライトを利用してマメ科植物に産卵することの生態学的意義を、植物におけるオスモライトの遍在性やチョウにおける味覚受容機構の適合性から考察する。
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研究成果の概要 |
キタキチョウは植物の代謝中間体や生理調節物質を利用して産卵を行う。既知の2成分に加え、本研究では新たにトレオン酸・エリスロン酸を産卵刺激物質として同定した。活性物質の一つピニトールは植物の乾燥ストレス応答によって増加し、ピニトール濃度の高い寄主植物に対してチョウは低い産卵選好性を示した。本種が産卵しない植物には4種類の活性物質のいずれかが含まれており、本種の産卵は主に阻害物質によって規定されると考えられた。実際、非寄主植物であるシロツメクサから4つの産卵刺激物質と産卵を阻害する青酸配糖体を同定した。本種の味覚受容体遺伝子を探索したところ、産卵に関わる4つの候補遺伝子を発見することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
①植物の乾燥ストレス応答は植食性昆虫の成長・発育を高める効果がある。これに対して本研究では、乾燥ストレス応答によって植食性昆虫の産卵が抑制されることを見いだし、成虫と幼虫で環境に応じた餌資源の利用戦略が異なることを明らかにした。この知見は、地球温暖化・干ばつの増加にともなう害虫発生パターンの変化を予測するのに役立つ。また、灌水量を減らして栽培することで作物を害虫に産卵されにくくする新規防除方法の開発に応用できる。②狭食性昆虫の産卵は、行動抑制因子の役割がより重要である。よって今後の化学受容と行動発現に関する研究は、刺激因子よりも抑制因子に焦点をおいて進める必要がある。
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