研究課題
基盤研究(C)
鉄道法面や道路法面、河川法面などの除草作業で排出される大量の雑草残渣は、多くが焼却ゴミとして処分されている。研究代表者はこれまで、農業残渣として大量に廃棄される果樹剪定枝を材料とした雑草抑制資材の開発を行ってきた。本研究では、この技術を応用し、法面の雑草残渣を材料とした雑草抑制資材の開発を目指す。しかしながら、草刈りによって得られる雑草残渣の利用には、複数の植物種が不定量、混在することが問題となる。そこで本研究では、複数の植物種が混在した雑草残渣を材料とした資材を作成し、雑草抑制効果を評価する一方で、材料として適した雑草が優占する植生を誘導する管理方法を構築する。
研究者はこれまでアレロパシー物質を有する剪定枝を用いた雑草抑制資材の開発を行なってきたが、本研究では雑草抑制資材の原料の確保と効果的な緑地管理の観点から、植物残渣の活用を検討した。研究者らが開発した植物残渣を用いた雑草防除資材の原料として、公園緑地などから発生する造園残渣や法面から発生する雑草残渣が有効であることを明らかにした。ただし、一年生広葉雑草に対する抑制効果は認められたものの、イネ科雑草や多年生雑草等に対する効果はやや弱かった。これについては次のステップで新たなアイデアで検討を行なう準備をしている。法面の緑化植物として害虫の発生源としてのリスクが小さいイタドリが有望であると選定した。ただし、イタドリは一方では難防除雑草としても位置づけられている。そこで、利用と防除の両面から、草刈りとイタドリの生育との関係を明らかにした結果、イタドリ群落を保全する上では、6月1回の高刈りがもっとも有効であり、イタドリ群落の防除の上では8月1回の地際刈りが最も有効であることが明らかとなった。
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