研究課題/領域番号 |
19K06127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
市橋 隆自 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60594984)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | つる植物 / 通導 / 根圧 / 冷温帯 / 凍結 / 木本性つる植物 / 通導構造 / 水分通導度 / 樹液流 / 環孔材 / 散孔材 / エンボリズム / 温暖化 / 冷温帯林 |
研究開始時の研究の概要 |
木本性つる植物は熱帯において繁栄し,森林動態に強く影響を与えている.温帯域においてその密度・種数ともに大きく減少するが,これは「つる植物の通導構造が凍結に弱く,氷点下の気温がその成長を制限するため」と考えられている.そうであれば,温暖化に伴う冬期の気温上昇により,温帯林においてもつる植物の影響が顕在化してくる可能性があるが,これまでにこの仮説に対して充分な検証は成されていない.本研究では,冷温帯林に同所生育するつる植物と樹木に対し,通導機能と光合成生産に関わる各種パラメータの 通年測定を行い,その季節変化の解析から,冬期の寒冷が特につる植物の通導・生産に対して阻害的に作用しているかを検証する.
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研究成果の概要 |
本研究課題では,冷温帯林に生育する木本性つる植物4種と樹木9種を対象に,水分通導機能の特徴,特に冬期の低温に対する反応を明らかにすることを目的とし,樹液流速と茎通導度の季節変化,春先の根圧モニタリングを行った.つる植物は,夏期の茎通導度が樹木の10倍前後高いなどの特徴を示した一方,寒冷に対する反応については両者に明確な違いは認められず,(1)環孔材的に当年の導管のみに通導を頼る、(2)展葉前に根圧を発生させて通導を回復させるという2つのタイプの種が,つる植物と樹木の双方に確認された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
つる植物はその通導構造が凍結に弱いと考えられ,従って温暖化に伴い温帯で勢力を増し,森林の炭素量を低下させるなど深刻な影響を及ぼすことが懸念されている.しかし温帯つる植物の生態については不明な点が多く,温暖化がつる植物群に与える影響を検証するための材料が欠けている.本研究はこの空白を埋めるべく温帯つる植物の基礎的な通導特性,特に冬期の凍結への反応評価を行った.得られた結果は先例のない発見を多く含み,温帯つる植物の生態の理解を深め,その将来的な森林機能への影響を評価することにつながる重要な成果である.
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