研究課題/領域番号 |
19K06135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
飯田 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70375434)
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研究分担者 |
山中 勤 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80304369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 熱帯季節林 / 吸水深度 / 蒸散量 / 植物季節 / 生態水文学 / カンボジア / 熱帯季節落葉林 / 樹木の吸水深度 / 蒸散 / 水の安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯季節林は土壌が乾燥する乾季に葉を落とした後、ほとんど間をおかずに、乾燥が継続したままの状態で葉を出す(展葉する)という特徴を有する。乾季の展葉は植物にとって不利益となる可能性も考えられるため、熱帯季節林のパラドックスとも呼ばれる。熱帯季節林が分布するインドシナ半島では気候変動によって雨量の減少が予測されており、同地域の熱帯季節林は大きな影響を受ける可能性がある。そこで、樹木が利用する水分量と土壌中の水の量、樹木内部の水と土壌中の水の特性を比較し、乾季に樹木が利用する水源を明らかにする。その上で、雨量の減少が熱帯季節林の存続に及ぼす影響の予測を行う。
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研究成果の概要 |
東南アジア域の熱帯季節林地帯における落葉林は乾季のうちに早い展葉を行い、蒸散することが観測データから裏付けられた。特に、2010-2020年で最も乾燥した2020年でも、樹木は早い展葉を行った。しかし、乾燥の影響で蒸散量は約半分まで減少し、水ストレスが生じた。枝に含まれる水の安定同位体比の解析結果から、深度120cm以深から吸水する樹木の存在が示唆された。このように、異常乾燥が進むと蒸散量は減少するが、深部からの吸水によって生命活動を維持していた。エルニーニョ現象や気候変動によって増加する異常乾燥の影響については、今後も検討を要する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インドシナ半島の熱帯季節林は経済活動の発展等によって減少しているが、カンボジアには天然林が残存しており、貴重な生態系となっている。本研究によって、厳しい乾燥条件下で早い展葉を行うこと、また異常乾燥時には蒸散量が大きく減少するが、土壌深部からの吸水によって生命活動を維持することが明らかとなった。このことは、同生態系の保全策の検討に科学的知見を供給するのみならず、気候変動によって頻発が懸念される異常乾燥による影響について、今後、植物生理学的検討も含めた評価を早急に実施する必要性を示すものである。
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