研究課題/領域番号 |
19K06150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 帝京科学大学 (2021-2022) 日本大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
森長 真一 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (80568262)
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研究分担者 |
平尾 聡秀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (90598210)
石塚 航 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究主任 (80739508)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シカ不嗜好性植物 / 集団ゲノム解析 / 森林生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本の森林においては、シカの増加に伴って生態系内の環境が大きく変化している。特に、シカによって食害を受ける植物は個体数が減少して絶滅に至り、一方、食害をほとんど受けないシカ不嗜好性植物は個体数を急激に増加させている。これらは、単なる個体数の変化にとどまらず、集団内の遺伝的組成にも変化を与えている可能性がある。そこで本研究では、シカ不嗜好性植物のヒトリシズカとフタリシズカを対象に、野外調査と集団ゲノム解析に基づいて、急激な環境変化が野生植物の生態的および進化的な変化に与える影響について明らかにする。
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研究実績の概要 |
日本の森林においては、近年になって急激にシカの個体数が増加し、それによりシカ嗜好性植物の個体数は減少し、一方で、シカ不嗜好性植物の個体数は増加している。この変化は生態系全体に、また生態系サービスや林業等にも大きな影響を与えうる。そこで本研究では、シカ不嗜好性植物2種を対象に、シカによってもたらされた森林の急激な環境変化が、野生植物の生態的・進化的変化に与える影響を明らかにすべく研究を行ってきた。今年度は、これまでに採取した植物個体のDNA抽出や、昨年度に続いて縮約的な手法による集団構造解析に関する予備的調査を行った。 これまでに採取した対象植物であるセンリョウ科のヒトリシズカとフタリシズカについて、DNA抽出を行った。昨年度までに行った次世代シーケンサーDNBSEQを用いたペアエンドシーケンスによって、他の植物種よりも、DNAの劣化が比較的早く進行することがわかっていた。そこで、いくつかのDNA抽出法を検討し、乾燥標本からもある程度の断片化は見られるものの集団ゲノム解析を行う上では必要十分な量のDNAを抽出できることがわかった。 昨年度に続いて、次世代シーケンサーイルミナMiseqを用いた縮約的手法によるショートリードデータの予備的解析も実施した。ソフトウェアのパラメーターの設定によって、得られるSNP数が大幅に変化するため、その最適化を進めた。また、種子の発芽実験や実生の栽培実験などを行うための準備も進めた。次年度は、野外調査により解析サンプルを増やすとともに、それらのサンプルを用いてDNA抽出とシーケンス解析を行い、既に構築済みのゲノム配列を用いて集団ゲノム解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために野外調査を十分に行えない状態が続いた。対象としている植物は秋になると地上部が枯れてしまうため、春から夏にかけて採取を行う必要がある。しかしながら、その時期は感染者が比較的多い状況が続き、解析用サンプルを予定通りに採取することができなかった。また、研究代表者の所属機関が変更となって2年目であったが、研究を行う上での細かな設備が整っておらず、当初の想定以上に実験準備等に時間を要してしまった。その結果、研究上の遅れと計画変更の必要性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が大流行する以前は、複数年・複数地点での植物採取に基づく、中立および非中立遺伝子の時間的変化の追跡を本研究の目標に掲げていた。しかしながら、感染症拡大防止の観点から野外調査を十分に行うことができない期間が続き、また大雨によって主要な調査地へのアクセスルートが遮断された時期もあった。そこで、広域調査に基づいた解析に完全にシフトし、加えて栽培実験などを実施することで多角的な視点からの解析を試みてきた。次年度も同様の方針で研究を進めていく。
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