研究課題/領域番号 |
19K06172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
雉子谷 佳男 宮崎大学, 農学部, 教授 (10295199)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 引張あて材 / 植物ホルモン / オーキシン / アブシシン酸 / ACC / オーキシン極性輸送 / IAA / tension wood |
研究開始時の研究の概要 |
木材需要の変化を見据えた広葉樹人工林導入は急務であり、国産早生広葉樹の木部形成の知見蓄積は重要である。
あて材形成に伴い細胞壁ミクロフィブリル傾角は大きく変化するため、あて材形成は極めて重要な知見が得られる研究対象と考える。
針葉樹と広葉樹で、あて材形成に関与する植物ホルモンは、オーキシンとエチレンである。エチレンの生成にはオーキシンとエチレン前駆物質ACCが関与する。本研究では、国産早生広葉樹を含む多様な広葉樹について樹幹屈曲処理および植物ホルモン投与処理によってあて材形成を誘導し、ACCを含む各種植物ホルモンの組織ごとの分布を解析することで、広葉樹あて材形成誘導の仕組みを解明したい。
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研究成果の概要 |
本研究ではスダジイ、シラカシおよびユリノキのあて材形成における植物ホルモンの働きを調べた。あて材形成時にオーキシン(IAA)、アブシシン酸の屈曲・傾斜樹幹上下での偏差分布が3樹種で確認された。エチレン前駆物質のアミノシクロプロパンカルボン酸(ACC)の偏差分布は、スダジイとシラカシで認められたものの、G層をつくらないユリノキでは認められなかった。ACC投与であて材は形成されず、軸方向柔細胞とサイトカイニン前駆物質量の増加が認められた。あて材形成時のIAA移動量を調べたところ、屈曲樹幹下側のIAA移動速度の上昇が推測された。あて材形成誘導は、各種植物ホルモンの相互作用が想定された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
あて材の細胞壁ミクロフィブリル傾角と細胞壁主成分の含有率は正常材に比べて大きく異なる。ミクロフィブリル傾角は、木材の物理的性質に影響をおよぼす重要な材質指標である。樹木がどのように細胞壁形成を制御しているのかを理解する上で、あて材形成は極めて興味深い研究対象である。また、針葉樹人工林のみでは、木材需要の変化に対応できず外国産材に国内需要を今以上に奪われる。近年、国産早生広葉樹による木材生産の可能性が注目されており、スダジイは日本の主要な広葉樹材資源である。広葉樹人工林導入には木部形成の基礎的知見が必要である。本研究で得られた成果は、木材材質の制御や広葉樹林業促進に貢献できる知見である。
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