研究課題/領域番号 |
19K06184
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
二羽 恭介 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70463429)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 養殖ノリ / スサビノリ / アサクサノリ / 隠蔽種 / 異質倍数体 / 倍数性育種 / 種分化 / ノリ / 異質倍数性 / 分類 |
研究開始時の研究の概要 |
現在のノリ養殖株は主に選抜育種によって育成されてきたため、遺伝的画一化が進んでいる。このため、新たな優良株を育成していくためには、遺伝的変異の拡大を図りながら新たな育種法を導入していく必要がある。そのような中、近年、ノリでも種間交雑によって異質倍数化することが確認されている。そこで、本研究では房総半島を中心に自生地で生育するノリ栽培種や近縁野生種などの分布状況を把握するとともに、種間交雑による異質倍数化したハイブリッドの探索を行い、育種素材の収集に取り組む。また、収集したハイブリッドから異質倍数化した系統保存株を確立し特性把握を行うことで、ノリの倍数性育種に向けた基盤構築に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では房総半島を中心に自生地で生育するノリ栽培種や近縁野生種などの分布状況を把握するとともに、種間交雑による異質倍数化したハイブリッドの探索を行い、育種素材の収集に取り組む。また、収集したハイブリッドから異質倍数化した系統保存株を確立し特性把握を行うことを目的としている.令和2年度は、房総半島から東北地方にかけて10地点の自生地で採集したサンプルを用いて、葉緑体rbc-spacer領域のシーケンス解析に加えて、核DNAマーカー解析を行った。その結果、5地点でスサビノリ×アサクサノリの種間交雑体が生育していた。また、スサビノリとスサビノリ隠蔽種が同所的に生育する自生地で、スサビノリ×スサビノリ隠蔽種の交雑体も存在することが示唆された。スサビノリ×アサクサノリの種間交雑体が見つかった自生地のうち1地点で詳細に調査した結果、採集した葉状体のほとんどが種間交雑体で、僅かに祖先種のアサクサノリが生育する自生地も存在した。本自生地で採集した葉状体から接合胞子を放出させて、長期保存培養できるハイブリッド糸状体4系統と祖先種アサクサノリの糸状体株1系統を分離・確立した。また、ハイブリッド糸状体4系統から殻胞子由来および原胞子由来の葉状体に生長させ、核DNAマーカーで解析した結果、これら4系統はアサクサノリ×スサビノリの異質倍数体株であることが推定された。さらに、同所由来の異質倍数体株と祖先種アサクサノリの系統株を用いて、同一条件下で室内培養した結果、祖先種に比べて細葉で大きく生長する異質倍数体株が存在することを明らかにした。このことから、さらに自生地から異質倍数体株の分離・確立を進めることにより、有用形質を持った育種素材の収集が行えるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生ノリの生育地でアサクサノリ×スサビノリの種間交雑体が見つかり、室内培養とDNAマーカー解析を行い、複数の異質倍数体株を分離・確立することができた。さらに、室内培養によって特性把握を行い、細葉で高生長の異質倍数体株も見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、さらに自生地から種間交雑体の探索を行い、長期保存培養できるハイブリッド糸状体の分離を進める。分離したハイブリッド糸状体から原胞子由来の葉状体を得てDNAマーカー解析を行い、異質倍数体株であるか検証する。確認された異質倍数体株については、特性把握を行い、さらに有用な形質を持った異質倍数体株が存在するか調査する。
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