研究課題/領域番号 |
19K06217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター (2021) 国立研究開発法人水産研究・教育機構 (2019-2020) |
研究代表者 |
松本 有記雄 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 水産領域, 研究員 (60700408)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | バイオロギング / 個体ベースモデル / ドローン / フェントン反応 / 一斉産卵 / ヒドロキシルラジカル / 蝟集 / フリーラジカル / エゾアワビ / 産卵生態 / 超音波テレメトリー / ドローンによる藻場調査 |
研究開始時の研究の概要 |
エゾアワビの浮遊幼生は、時空間的に変動する海流の影響を受けて分散する。そのため、産卵場所とタイミング、そしてそれらを決定する産卵の鍵刺激の理解が分散予測において必要となる。本研究は、本種の産卵を誘発する酸化物が大気中に存在し、雨水に溶け込むことに着目した。すなわち、雨水中の酸化物が時化によって海底に到達し、それが本種の産卵を誘発するかを検証する。また、酸化物の影響は生息深度によって異なることが想定されるため、本種の深浅移動に与える海藻藻場の生育の影響も明らかにする。そして、一連の産卵・移動生態を模した個体ベースモデルにより、大型海藻の生育が本種の産卵タイミングや産卵場所に与える影響を解明する。
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研究成果の概要 |
エゾアワビの産卵は低気圧通過などの荒天時に観察されるが、なにが産卵のトリガーとなっているかは分かっていなかった。本研究は、荒天時に雨水や海水中で含まれる過酸化水素と二価鉄イオンの化学反応によってヒドロキシルラジカルが生じ、これが産卵を促している可能性を示した。
低気圧が産卵に与える影響は、深い場所よりも浅い場所の方が受けやすいと想像される。アワビの餌となる大型褐藻群落の季節消長に合わせて、アワビは浅い場所に移動する可能性が示された。この浅場への移動タイミングは繁殖期と重なっているため、海藻の季節消長に合わせた移動が結果的に繁殖にとっても機能的だと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
巻貝や二枚貝、サンゴ類などの海産無脊椎動物では、ヒドロキシルラジカルをはじめとするフリーラジカルが産卵を促すことが水槽実験で示されてきたが、野外でフリーラジカルが産卵に関与する可能性は全く議論されてこなかった。本研究は、野外におけるフリーラジカルの発生要因となりえるフェントン反応に着目することで、海産無脊椎動物の一斉産卵のトリガーに関する新しい仮説を提唱した。また、アワビの実際の移動データとドローンによって習得した環境データを統合した新しいシミュレーションモデルを構築することで、動物の行動に基づいた資源管理技術開発への道筋を作った。
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