研究課題
基盤研究(C)
一般に細胞表面の複合糖質は、細菌やウイルス、ホルモンなどの認識分子として機能することが知られている。その認識には糖鎖の種類や構造の特異性があり、細菌感染において糖鎖の構造変化は、病原性を決定する重要な制御因子である。しかしこれまで、魚病細菌の感染に関して、宿主細胞の糖鎖リモデリングとの関係について解析した例は少ない。そこで本申請課題では、E. tardaの感染における宿主細胞の糖鎖リモデリングの機構を明らかにし、細胞感染におけるその意義について明らかにすることを目的とする。
E. tardaは養殖魚に感染する魚病バクテリアであるが、その感染メカニズムについては不明な点が多い。本課題では、魚類細胞およびバクテリア上に存在する糖鎖に注目し、バクテリア感染と糖鎖構造の変化について解析を行った。その結果、1)E. tardaは感染時に宿主細胞の表面の糖鎖をリガンドとして使用すること、2)その際にはシアル酸の切除が必要であること、3)遊離したシアル酸はバクテリア体内に取り込まれ、シアリル化などに使用されることが明らかとなった。
E. tardaは細胞内寄生細菌であり、生ワクチンが使用できない養殖現場において、その予防・治療法の開発が急務である。本課題では、E. tardaの感染制御にはバクテリアおよび宿主細胞におけるある特定の糖鎖構造が重要であることを明らかにした。この研究成果は、E.tarda感染の予防・治療において、糖鎖が標的分子となることを示しており、今後は糖鎖合成、および分解酵素の阻害剤などに応用の可能性が期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (10件)
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