研究課題/領域番号 |
19K06258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森高 正博 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20423585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 農産物バリューチェーン / 契約農業 / 取引費用論 / 契約理論 / AHP / DAG / 東南アジア |
研究開始時の研究の概要 |
東南アジア諸国は、近年、契約農業の推進と高付加価値農産物・食品のバリューチェーン構築を国家プロジェクトとして位置づけている。ただし、伝統的市場と近代的市場とが二極化して併存する独自の市場構造が成立していること、また農家の零細性と組織化の遅れといった背景からバリューチェーン構築の課題も多い。本研究は、東南アジア型の契約農業及び農産物バリューチェーンの推進方法の解明を長期的目標とする。その第一段階として、地域・品目間の事例調査をメタ分析可能とする、実態調査から数量分析までの一貫した調査・研究体系の構築と適用を試みる。
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研究実績の概要 |
高付加価値型バリューチェーンを構築する上で基盤となる契約農業について、その一般的評価方法を確立することが本研究の中心課題である。これについて、2023年度は、契約農業の現場における契約理論のフレーミングの問題点について検討した。検討を通して、契約農業の評価枠組みとして、エージェント(受託者である農家)側の一方的なモラルハザードの問題設定ではなく、プリンシパル(委託者である加工企業)側のモラルハザードを含めたダブル・モラルハザードの視点で評価枠組みを構築することの重要性を明らかにした。詳細は以下の通りである。 契約農業の現場において、一般にみられるのは、加工企業側が契約内容を設計し、これを委託先の農家に提示、農家がこれを受諾するか否かを選択するというものである。その際、契約締結後の事後的な農家側のモラルハザードが伴うため、加工企業側はこれを防止するための契約設計を行うことになる。 しかし、ミャンマーのホウレンソウ契約農業を事例として、契約継続状況および契約内容の分析を行った結果、第1に、プリンシパルである調達企業が、契約設計を通して農家側のモラルハザードを適切に管理しているものの、依然として農家の契約継続に問題を抱えていることを明らかにした。第2に、企業および農家へのヒアリング調査によって、農家側のモラルハザードへ対処するための契約設計そのものに起因して、企業側のモラルハザードの状況が発生していることを明らかにした。以上のことは、エージェントのモラルハザードというフレーミングが、プリンシパルによる一方的な契約設計を肯定してしまい、結果としてプリンシパル側のモラルハザードをコントロールする必要性が見落とされたことを意味している。契約農業においてはダブル・モラルハザードの視点が、契約の継続性問題に対する処方箋を提供することの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の体調不良により十分な研究時間を取れなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究結果であるダブル・モラルハザードの視点を取り入れつつ、2024年度は取引先評価における多属性効用関数としてのAHPの利用に関してモデル構築を見直す。また、MHCDのアイデアについては、その方法論としての検討を深め、学術誌ヘ投稿を行う。 以上のアプローチを踏まえ、ベトナムにおいて実施ができていなかった契約農業事例の収集・調査を実施する。調査においては、研究代表者の体調不良が続いていることを考慮し、現地の研究協力者と連携の上、リモートでの調査を実施する。
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