研究課題
基盤研究(C)
本研究は、腎尿細管の再生に関わる遺伝子群の非コードDNA領域の機能を俯瞰的な視点から捉え、個体内でのネフロン再生を可能とさせる遺伝子発現調節メカニズムの全容解明を目指すものである。この目的で、遺伝子発現の活性化と強い相関があることが知られているオープンクロマチン領域の網羅的な解析と、それらが実際の個体内で働いているかを調べるin vivoエンハンサー機能解析の手法を組み合わせて、腎尿細管が再生する過程のゲノム動態の全容の解明を試みる。
本研究では両生類の腎尿細管の再生をモデルとして、再生過程をライブイメージングできるトランスジェニック・ツメガエルから摘出した腎管細胞の網羅的オープンクロマチン領域解析とH3K27 のアセチル化修飾(H3K27ac)抗体を用いたクロマチン免疫沈降シーケンス、再生中の腎尿細管で活性を示すエンハンサーのトランスジェニック・スクリーニングを行い、(1) 再生特異的なエンハンサーの同定、(2) 再生特異的なエンハンサーを活性化する転写因子の同定、(3) 標的遺伝子の同定、に成功した。これから、個体内でのネフロン再生を可能とさせるシス調節メカニズムの一端が明らかとなった。
組織・器官の再生では発生過程で使われた遺伝子が再び発現することが知られている。しかしながら、これら発生制御遺伝子の再発現を担うエンハンサーがいずれの転写因子により活性化されるのか全ゲノムレベルでその機能を捉える研究は殆どなされていなかった。本研究は哺乳類と同様に損傷後の残存している細胞から尿細管を再生する両生類をモデルとしてその問の解決に挑み、腎尿細管再生における全ゲノムレベルでの再生エンハンサーと活性化因子を明らかにした。これらエンハンサーや活性化メカニズムは哺乳類においても進化的に保存されていると予想され、将来の再生医療技術の発展に繋がる点において社会的意義が高い。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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