研究課題/領域番号 |
19K06751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
戸張 靖子 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (90453919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 鳴禽類 / 神経ペプチド / 歌制御系 / 発声学習 / 求愛歌 / キンカチョウ / ペプチド / バリアント / 歌学習 / 脳内発現 / 聴覚系 / 社会性 / 家畜化 / 家禽化 / 発声運時系 |
研究開始時の研究の概要 |
発声学習能とは模倣を通して新しい音声パターンを学習し発声する能力であり、ヒトの言語獲得に必要な能力の1つである。言語能力や社会性との関連が推測される遺伝子Aのオルソログを、発声学習能を示す小鳥キンカチョウでクローニングした。キンカチョウ遺伝子Aは、さえずり行動を制御する脳領域で遺伝子は高発現を示し、遺伝子Aがコードするペプチドホルモンも同領域で存在した。このペプチドホルモンによって引き起こされるキンカチョウのさえずり行動の変化や作用部位を明らかにすることによって、発声学習を可能にさせる分子基盤の解明だけではなく、コミュニケーション能力を支える社会性の分子機序の解明に貢献できる可能性がある。
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研究成果の概要 |
鳴禽類キンカチョウはヒトと同様に発声学習能を示す。ヒトで言語能力や社会性との関連が推測される遺伝子Aのオルソログの複数のcDNAをキンカチョウ脳よりクローニングた。遺伝子AのmRNAは、キンカチョウの発声を制御する2つの大脳の神経核(HVCとRA)で発現が検出された。一方で、発声の学習を制御する脳領域(LMAN)では、雌で発現がレベルが高く雄では発現レベルが非常に低いという雌雄差がみられた。mRNA発現に発達変化はみられなかった。HVCとRAの組織から、遺伝子AのcDNAから推測された成熟ペプチドを検出した。今後、これらペプチドをHVCやRAに投与して発声への影響を解析する予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遺伝子Aはタンパク質の一次構造から糖転移酵素として機能することが推測されていたが、限定切断されて短いペプチド断片としても機能するのではないかと予想された。キンカチョウはヒトと同様に発声学習能を持ち、学習により獲得された音声を制御するための特別な神経回路(歌制御核)が大脳に存在する。本研究では、このペプチドが歌制御核に存在すること、そのペプチドをコードするmRNAは歌い始める30日齢から歌が完成した後の120日齢まで一定して歌制御核で発現量が高いことが明らかになった。これらの結果は、学習性の発声の制御にこのペプチドの関与を示唆するものであり、言語野においてもこのペプチドが機能を持つかもしれない
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