研究課題/領域番号 |
19K06755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 啓之 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (90241372)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 刺胞動物 / 筋肉 / 収縮調節 / リン酸化 / アクチン / カルシウムイオン / ATP / 筋収縮調節 / ミズクラゲ / 再生 / クラゲ / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、刺胞動物が筋肉を収縮させたり弛緩させたりする機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。得られる成果は、動物や筋肉の進化を解明する上で重要であるほか、ヒトを始めとする高等動物の筋肉の作動機構や筋疾患の発症機序等の解明にも貢献し得る。本研究においては、クラゲの筋肉からタンパク質を精製して試験管内で機能を解析するほか、筋肉の収縮または弛緩時において、複数のタンパク質間で情報伝達がどのように行われているかを解析する。
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研究実績の概要 |
ミズクラゲの下傘上皮(横紋筋)、アカザラガイ閉殻筋(平滑筋)、並びにニワトリ砂嚢筋(平滑筋)のホモジェネートを調製し、Caイオンの存在または非存在下でATPと共に15℃でインキュベートしたところ、いずれもATPase活性が確認されたが、そのCaイオン感受性はミズクラゲ<ニワトリ<アカザラガイの順であった。また、ホモジェネートをSDS-PAGE後、Phos-Tag Cyanで染色してリン酸化タンパク質を検出したところ、ニワトリ砂嚢筋についてはミオシンの調節軽鎖がCaイオン依存的にリン酸化されていることが示された。しかし、ミズクラゲおよびアカザラガイについてはミオシンの調節軽鎖はほとんどリン酸化されておらず、その度合いもCaイオン依存的に変化しなかった。従って、これらの筋肉には、広く知られる平滑筋の収縮調節機構が存在しない可能性が示された。一方、ミズクラゲ下傘上皮のホモジェネート中に、Caイオン依存的にリン酸化レベルの増大するタンパク質が複数確認され、そのうち一つはミトコンドリアに存在するF0-ATPシンターゼのαサブユニットと同定された。従ってミズクラゲの横紋筋では、ATP合成系がリン酸化を介してCaイオン依存的に調節されている可能性が考えられた。 また、ミズクラゲにアクチン1とアクチン2の二つのアクチン遺伝子が存在する意義を調べるため、リアルタイムPCRによる発現解析を行った。成体の上傘上皮、下傘上皮、口腕上皮から調製した全RNAについて調べたところ、アクチン1は上傘:下傘:口腕=0.65:1.00:0.68の比率で、またアクチン2は3.24:1.00:1.72の比率で発現していると見積もられた。これらの組織のうち、上傘のみが非筋組織であることを踏まえると、非筋組織ではアクチン2が優勢に発現していると推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調節機構の解明に至るほどの成果が上げられていないため。
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今後の研究の推進方策 |
Yeast Two-Hybrid Systemによってミズクラゲ横紋筋を構成するタンパク質の相互作用(情報伝達)のネットワークを解析する。現在、横紋筋に特に多く含まれるSer/Thr-キナーゼ、本研究で見出した新規Caイオン結合タンパク質(AaCBP)、およびカルモジュリンと相互作用するタンパク質をcDNAライブラリーからスクリーニングしているが、まだ見つかっていない。今後は、ライブラリーの質の向上をはかり、スクリーニングのスケールも拡大して実施する。
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