研究課題/領域番号 |
19K06760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
香取 将太 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命助教 (50562394)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 匂い学習 / マウス / 忌避行動 / 接近行動 / ストレス抑制 / 親離れ / 育仔放棄 / 神経活動 / 刷込学習 / 嗅覚 |
研究開始時の研究の概要 |
脊椎動物は生後早期の一定期間(感受期)に、ある感覚情報を短期間で記憶する。興味深いことに、感受期中の齧歯類に弱い電気刺激と共に人工的な匂いを提示すると、その匂いに対して接近行動を示す。一方、感受期後では提示された匂いに対して忌避行動を示す。この生後早期の特別な学習(刷込学習)は、哺乳中に受ける触覚刺激をきっかけに母親の匂いを覚え、生存確率を上げるために備わっている性質であると考えられる。本研究ではマウスを研究対象とし、光遺伝学による神経活動制御技術、神経活動の可視化技術を用いて、匂いに対する刷込学習を行う時、忌避行動が抑制され、接近行動が惹起される仕組みを明らかにすることを目標とする。
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研究成果の概要 |
生きていく上で意思決定から逃れることはできない。しかし、意思決定のメカニズムは不明な点が多い。本研究では、意思決定のメカニズムを明らかにすることを目的とした。本研究では、授乳期の仔マウスを用いて匂い学習の実験系を構築した。通常、忌避臭に対して忌避行動を示すが、学習によって忌避行動を抑制し、接近行動を示すよう意思決定を切替させることができた。意思決定を切り替えた個体では、忌避行動に関連する脳領域の神経活動の抑制が見られた。さらに、親離れを後押しする現象についても明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
授乳期後期では母親の育仔放棄(あるいは隔離)がトリガーとなって、その時に嗅いだ匂いに対して接近行動を示すという非常に興味深い現象を本研究で見つけた。仔マウスは授乳期後期の時点で自発的に巣を出るという行動がしばしば見られるので、母親不在は報酬となり得るのかもしれない。そのような視点で本研究の結果を捉えると、上記の現象は親離れをサポートする性質の一端を示している可能性が高い。離乳は腸の発達が関与していることが報告されているが、親から精神的な自立、親離れのメカニズムについての研究は進んでいない。本研究の結果はそれに対して一石を投じることができたと思われる。
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