研究課題/領域番号 |
19K06790
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松林 圭 九州大学, 基幹教育院, 助教 (60528256)
|
研究分担者 |
小島 弘昭 東京農業大学, 農学部, 教授 (80332849)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 形質置換 / 波及的隔離強化 / 種間競争 / 交尾器 / 海浜性昆虫 / 色彩多型 / 種分化 / 種間相互作用 / 繁殖干渉 / 雄交尾器内袋骨片 / 海浜性ゾウムシ / 系統地理 / 移動分散 |
研究開始時の研究の概要 |
飛翔能力を欠く日本の海浜性ゾウムシの近縁な2種では、オス交尾器内袋骨片の形状と鞘翅色彩について形質置換が示唆されている。この2種間では他にも複数の形質が形質置換を示す可能性があるため、その様相を集団間比較によって明らかにする。さらに、このような種間での形質置換が波及的に種内異所的集団間の生殖隔離を発達させる “波及的隔離強化”について検証する目的で、これらのゾウムシを用いた形態計測、飼育交配実験、分子集団遺伝学的解析、野外観察などを通して、形質置換の生態的要因および進化的背景を調査する。
|
研究成果の概要 |
近縁な2種の海浜性ゾウムシにおいて、①生殖形質に関する形質置換があるかどうか、②両者の間で交尾器の違いに対応して生殖隔離が強化されているかどうかについて調査した。調査の結果、この2種では分布が重複する北九州から山陰地方の一部にかけてスナムグリヒョウタンゾウムシの骨片が非重複地域のものより大きくなり、トビイロヒョウタンゾウムシの骨片が小さくなるというはっきりした形質置換が確認された。この形質置換は最近になって分布域が重複する箇所で局所的に進化したものと推定される。一方、交尾器の形状と生殖隔離の強度についてははっきりとした傾向が検出されなかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生殖器における形質置換は近縁な生物間でしばしば観察される現象だが、それがどのような原因でいつどの集団で起きているか、そしてそれが他の隔離要因と一緒に進化しているかどうかについては詳細に調べられてこなかった。今回の研究においては、ゾウムシで起きている生殖的形質置換が異種に対する間違い交尾に起因した繁殖干渉によって生じていること、そしてそれがごく最近に2種のゾウムシが同所的に生息し始めてから生じたということが明らかになった。これは現在進行形で起きている形質置換の好例として、生殖形質以外の生態的形質における形質置換への影響などといった、さらなる発展が期待できるものである。
|