研究課題/領域番号 |
19K06804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
綿野 泰行 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (70192820)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 異質倍数体 / シダ植物 / 生態的ニッチモデリング / ニッチシフト仮説 / 二次接触仮説 / 気候変動 / 同形胞子シダ植物 / 生態ニッチモデリング / 最終氷期最大期 / 分岐年代推定 / 同型胞子シダ植物 |
研究開始時の研究の概要 |
異質倍数体化は、植物の種分化の主要な機構である。しかし、新規に生じた倍数体個体が、親種との競争を回避し如何にして集団を形成し確立するのかという成立初期過程はよく分かっていない。本研究では、日本産の異質4倍体種のうち、その両親種が日本に現存するものに焦点を当てる。第一に、異質4倍体種とその両親種の潜在分布をニッチモデリングの手法で解析し、ニッチの類似度や幅を定量的に評価して比較する。第二に、クロノキシノブとその推定両親種の系について、その倍数化起源の年代推定をゲノム情報を元に行い、今から約2万年の最終氷期最盛期に両親種の分布が地理的に近接した際に生じたという仮説の検証を行う。
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研究成果の概要 |
異質倍数体種が新規に確立するためには、親種との競争を避けるため、ニッチ分化が必要だという説がある。しかし、この異質倍数体種分化の生態学的側面については、いまだ決着がついていない。本研究では、事例を集積し一般化を進めるために、日本列島内で起源した可能性が高い「日本産異質4倍体シダ植物種の中で、その祖先二倍体種が共に日本列島に現存する」事例の発見に努めた。その結果、5例を新規に発見した。両親種が大きくニッチ分化しているノキシノブ属のクロノキシノブとイシガキウラボシの事例についてはニッチ解析を行い、最終氷期最大期(約2.1万年前)には近接して分布しており、現在より交雑の機会が大きかったと推定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本列島内で起源した可能性が高い「日本産異質4倍体シダ植物種の中で、その祖先二倍体種が共に日本列島に現存する」事例を新規に5件発見した。既知の6例と合わせ、異質倍数体種とその両親種の間の生態的ニッチ分化パターンの理解のための基盤が揃ったと言える。事例の中には両親種のニッチが大きく違い、現環境下では親種間の交雑の機会がないものもある。これらの事例では、第四紀における気候変動(氷期-間氷期)に伴う分布の変化が親種間の交雑の機会を与え、さらに倍数体種の定着を促進した可能性がある。
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