研究課題/領域番号 |
19K06807
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上井 進也 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (00437500)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 褐藻 / アカモク / 季節集団 / 遺伝的分化 / 光周性 / 遺伝子流動 / 季節性集団 / SNP / 日本海 / 瀬戸内海 / シダモク / 交雑個体 / 室内培養 / 交配後隔離 / 同系交配 / ホンダワラ類 / 海藻 |
研究開始時の研究の概要 |
アカモクは褐藻ホンダワラ類の1種であり、日本沿岸の主要な藻場構成種である。アカモクはいくつかの形態的特徴から容易に同定できるが、一方で種内に遺伝的に分化したいくつもの集団が存在する事が知られている。本課題では、アカモク集団間の遺伝的分化が維持されるメカニズム(隔離機構)を明らかにすることを目的とする。とくに、成熟時期がズレている同所的な季節集団間の隔離機構の解明を目指す。幼植物体の生育最適条件の比較を行ない、まれに成熟時期が重なることにより生じる季節集団間の交雑個体、あるいはその子孫の運命について明らかにし、隔離機構の解明を進めていく。
|
研究成果の概要 |
本課題により、褐藻アカモクにおける同所的な季節性集団が遺伝的分化を伴うものであることが確認され、それと同時に一定の遺伝子流動を持ちながら、それぞれの固有性を維持していることが明らかになった。培養実験の結果から、季節集団の成熟時期の違いは光周性の違いにより説明でき、また季節集団間の交雑個体が稔性をもつことも確認された。これらの結果は野外サンプルの成熟時期の観察や遺伝的解析結果と矛盾しない。また、新潟と瀬戸内海という異なる地域の季節性集団が遺伝的に大きく異なることも確認され、瀬戸内海のアカモクの遺伝的距離に比べると、新潟の季節性集団間の遺伝的距離は非常に小さいものであった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アカモクの季節性集団については、瀬戸内海で詳細な生態的研究がなされているが、遺伝的解析は実施されていない。本研究により、季節集団間の遺伝的分化や交配可能性、遺伝子流動の存在が確認された。日本沿岸における海藻の多様化プロセスの理解を進める上で、これらの知見は重要であると言える。また、アカモクについては、藻場構成種として生態的重要性が認識されてきたが、近年では食用海藻としても注目が集まるとともに、ブルーカーボンとして藻場造成に利用されたりもしている。本研究の示した同所集団の遺伝的・生理的多様性は、アカモクの産業的利用や保全を進める上での基礎的知見として、かかすことのできないものであると言える。
|