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土壌生態型のサワシロギクをもちいた蛇紋岩適応への付加的な微生物作用の実証

研究課題

研究課題/領域番号 19K06812
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分45030:多様性生物学および分類学関連
研究機関大阪府立大学

研究代表者

西野 貴子  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20264822)

研究分担者 加藤 幹男  大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (30204499)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード蛇紋岩適応 / 生態型分化 / 生物間相互作用 / 適応 / 土壌生態型 / 蛇紋岩植物 / 微生物共生 / 種分化
研究開始時の研究の概要

別の異なる環境へ侵入し適応していくことで、世代を経て元の集団とは異なった種になっていく生物の進化はよく知られている。しかし、別の環境で生き残るには、その別の環境でも生理的に順応する能力を元々有してなければならず、侵入先ではさらに微生物などとの生物間相互作用の影響も受ける。
植物にとって蛇紋岩地帯は有害で生育に過酷な環境であり、蛇紋岩耐性のある植物しか生育できない。一方、そうした植物の生理機能以外に、そこには植物と微生物の特殊な関係があることが予測される。そこで、植物が蛇紋岩土壌に適応していくことに微生物が寄与している可能性を検討する。

研究実績の概要

特殊土壌への植物の適応は、種分化の研究例として古くからよく知られているが、これまでの研究例の多くは、その特殊環境の要素、例えば、土壌金属や気温といった環境要因に対しての植物の順応と、その後、世代を経て獲得された生態的分化によって種分化の過程を明らかにしてきたものである。
近年、生物間相互作用が注目され、特に微生物やウイルスが介在する関係が多くの植物に一般的であることがわかってきた。特殊土壌に適応している植物が、元の集団から、特殊土壌というまったく異なる外的環境に進入し、定着をしていく中で、植物自体の生理的順応だけではなく、生物間相互作用が付加的に影響しているのではないかという仮説を本研究では検証する。
これまでの研究で土壌のニッケル量への反応が異なっていることが明らかになっているサワシロギクの複数集団をもちいて、初年度は、滅菌処理による植物の成長の反応をみた。特殊土壌による選択圧は、発芽からの初期生長の段階で大きく影響を及ぼすことが、先行研究で明らかになっているので、ニッケル耐性の異なる3生態型の種子、および3種類の土壌(湿地土壌、蛇紋岩土壌、栽培用土)をもちいて、種子と土壌の滅菌処理の有無を組み合わせて、発芽から本葉展開までの成長を記録した。
その結果、土壌の滅菌処理にかかわらず、蛇紋岩型の生態型において、種子の滅菌処理を行うと発芽率や本葉展開率が有意に下がり、湿地土壌や蛇紋岩土壌では実生の生残率が非滅菌種子で有意に高かった。このことから種子内部、もしくは表面に存在している微生物がストレスの大きい土壌環境において発芽や初期成長を補助している可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現地での植物種子の採取等について、これまでのノウハウを生かし、天候不順な年ではあったが、比較実験には不足はない量の野性材料を確保することができた。しかし、種子の次亜塩素酸による滅菌方法の見直し、および、土壌のガンマ線滅菌のためには放射線取扱い講習会の受講等、所定の手続きを踏んでからの実験開始となったため、計画の遅れが心配されたが、その後の発芽実験は、これまでの経験値を生かすことができたため順調に進んだ。
種子数の制限から実験条件の全ての組み合わせを実施することはできなかったが、実証のために最低限必要なデータセットは十分に揃えることができた。データの統計処理は終わり、現在、二次的な解析による発芽要因の特定を行っている。

今後の研究の推進方策

ここまでは順調に予定どおりに進んでいるので、当初の計画どおり、適応に補助的に働いていると推測される微生物の存在を確認するため、その微生物の特定と作用場所を明らかにしていく。
バクテリアについては、各生育地の土壌、および植物体の表面から総DNAを抽出し、次世代シーケンサーをもちいてメタバーコーディング解析を行い、MacQIIMEやClaident などで群集解析を行う。
植物の常在微生物のうち内生菌については、各生態型の植物体の各部位から、真菌類と細菌類のそれぞれの培地にて培養を行い、真菌類ではITSプライマーを、細菌類では16S rRNA遺伝子の保存領域のプライマーをもちいてDNA増幅を行い、その塩基配列から分子同定を行う
また、単独培養の難しいAM菌については、根や種子ごとの器官別にCTAB抽出を行い、18S rRNA遺伝子のプライマーと、ITSプライマーの併用によって分子同定を行う予定である。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2021-01-27  

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