研究課題/領域番号 |
19K06815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
堤 千絵 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (30455422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 菌根菌 / 系統解析 / ラン科クモキリソウ属 / クモキリソウ属 / ラン科 |
研究開始時の研究の概要 |
日本のクモキリソウ節植物を用いて、分子系統解析、共生培養実験、形態学的調査等を行い、植物の進化に伴う菌根菌の変化と、菌パートナーのシフトに伴う菌根形成過程の変化を明らかにする。共生培養実験では、植物と菌の系統を考慮して複数の菌種と植物を培養し、発芽率等の比較から植物の菌根菌に対する種特異性を調査するとともに、超準薄切片を作成し植物細胞内における菌根菌の動態等についても調査する。 共生培養により得られる「植物と菌の共生体」での超低温保存法による保全手法の開発に取り組む。
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研究成果の概要 |
日本のクモキリソウ節植物を用いて、植物の進化に伴う菌根菌の変化と、菌パートナーのシフトに伴う菌根形成過程の変化を明らかにすることを目的に、菌根菌の分子系統解析、共生培養実験、形態学的調査等を行った。これらの植物は、菌根菌に対して高い特異性を持ち、植物の系統ごとに異なるTulasnellaのグループを菌パートナーとすることから、Tulasnellaグループ内で菌根菌パートナーを変えながら多様化したと考えられる。さらにスズムシソウの共生培養下での胚発生の内部構造観察から、発芽時における菌根菌の成立過程には複数の段階があり、非スズムシソウ菌種とではいずれか特定の段階で共生が妨げられると推定された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ランと菌根菌に関する研究例は多々あるが、系統関係を考慮し共生培養実験により定量的に菌に対する特異性を調べた研究例は少ない。本研究では、植物と菌、両者の系統関係を考慮し、共生培養実験を重ねて、植物の進化と菌根菌の変化を推定した。さらにスズムシソウの共生胚の細胞内動態の調査から、種子発芽時における菌根共生の成立には、菌糸の侵入、胚の基部側細胞での菌糸の制御、その後の活発な胚細胞分裂が関与していること、スズムシソウでは非適合な菌とでは特定の段階で停止することが明らかとなった。今後スズムシソウは、菌根共生の成立過程における遺伝的なメカニズムの解明など、さまざまな研究への発展が期待できる。
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