研究課題/領域番号 |
19K06850
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
長谷川 克 石川県立大学, 生物資源環境学部, 客員研究員 (90724659)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 雛擬態 / 進化 / 感覚搾取 / 子育て / 幼体擬態 / 雄間闘争 / 系統種間比較 / 野外実験 / 室内実験 / 地域群集 / 行動生態学 / 性選択 / 生理 / 擬態 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに幼体への擬態が異性の子育て欲求を搾取して誘引する適応的戦略であることが示されている。しかし、子育て欲求の搾取は異性の誘引に留まらないだろう。幼体擬態は同種・異種の闘争行動を緩和して、集団・群集レベルで影響することが予想される。子育て欲求の搾取が副次的に種間レベルでも働くことは池の鯉に餌を与える鳴禽類などで逸話的に知られてはいるものの、これまで学問体系の中で真剣に議論されることはほとんどなかった。これまでないがしろにされてきた個体間相互作用における感覚搾取とその集団・群集レベルの影響を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、幼体擬態が闘争及び集団構造に与える影響について、種内パターンおよび種間パターンから明らかにすることを目的としている。種内パターンにおいては、幼体擬態によって、オスの敵対行動が弱められること、また、結果として集団構造を密にすることになることが示唆され、国際的な学術誌に発表することができた。一方の種間パターンについても、予想に一致する結果が得られているが、こちらについては現在投稿中であり、詳細は論文の受理後に公表予定である。以上の2つのアプローチにより、幼体擬態は確かに闘争及び集団構造に影響を与えることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
理論上、個体間相互作用で使われる特徴はどんどん誇大化して資源消費量を増大させ、集団全体にとって悪影響を与えるという。実際、野生動物に着目した研究でもこうした予測に一致する結果が得られているため、理論と実証、両面からの支持が得られていることになる。しかしながら、こうした研究は各文脈における特徴の進化が独立しているという暗黙の前提に基づいている。本研究では、子育てする生物がもつ子への親和的行動が子育て以外の文脈、例えば闘争においても現れることで、幼体「擬態」が雄間闘争を回避し、集団全体の構造すら変えることを示唆した。本研究が示すように文脈間の連携は根強く、これを無視した研究は非現実的だといえる。
|