研究課題/領域番号 |
19K06917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大原 慎也 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10570038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 内側嗅内皮質 / 外側嗅内皮質 / 海馬出力路 / V層局所回路 / 齧歯類 / 海馬-皮質出力回路 / 霊長類 / 海馬-嗅内皮質路 / 局所回路 / 嗅内皮質 / 海馬 / 記憶の固定化 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅内皮質を介した海馬から大脳皮質への出力回路は、記憶の固定化において重要な役割を果たす。この海馬出力回路は3つの要素、すなわち①海馬から嗅内皮質Vb層への投射、②Vb層ニューロンの局所回路、及び③Va層ニューロンから大脳皮質への投射、から構成される。本研究では 、それぞれの構成要素が内側嗅内皮質(MEC)と外側嗅内皮質(LEC)でどのように異なるのか、オプトジェネティクスや狂犬病ウイルスベクターによるトレーシング等、最先端の手法を駆使して解析する。これにより、『どのような神経基盤が記憶の固定化に求められるのか』、その問いに答える。
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研究成果の概要 |
本研究では、記憶の固定化を担う回路として、内側嗅内皮質(MEC)と外側嗅内皮質(LEC)を介した海馬から大脳新皮質への海馬出力路に着目し、その回路構成の解明を目指した。神経回路トレーシング法と光遺伝学を用いた神経回路マッピング法により、嗅内皮質Ⅴ層を中心とする①海馬からの入力路、②局所回路、及び③皮質への出力路の構造を調べた。一連の研究により、これまでMECとLECで類似するとされてきた回路構成が2領域間で大きく異なり、海馬から大脳新皮質への情報伝達を中継する回路がMECよりLECにおいて発達していることが明らかになった。この結果は、LECが記憶固定化に重要な役割を果たすことを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
MECよりLECが海馬出力路を効率的に中継することを示した本研究成果は、MECが記憶固定化に深く関わるとしたこれまでの考えに反する興味深い発見である。この解剖学データを基に、LECにおける記憶固定化のメカニズム解明を目指す様々な行動学的、計算論的研究が展開されることが期待される。また、LECがアルツハイマー病患者において最初に病変が見られる領域であることから、アルツハイマー病の病態メカニズムの解明にも繋がると考えられる。さらに、LECとMECの回路構成の違いは、「LECとMECニューロンの情報表現の違いを生む神経機構」、及び「MECグリッド細胞を生む神経機構」の理解にも貢献すると期待される。
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