研究課題/領域番号 |
19K06947
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
川井 秀樹 創価大学, 理工学部, 教授 (90546243)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | crossmodal plasticity / visual loss / cholinergic modulation / auditory processing / クロスモード可塑性 / コリン作動性 / 聴覚皮質 / 視覚喪失 / 遺伝子発現 / 内在的膜特性 / 神経細胞興奮性 / 次世代シークエンサー / 興奮性制御 / シナプス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は視覚を失うことで生じる他感覚の鋭敏さが脳のどのような変化によるものなのかを探ることを目的とする。主に聴覚の情報を処理する大脳皮質の神経細胞に焦点をあて、音の周波数などの神経情報伝達を可能にする神経細胞の特性、特に単一細胞で生じる遺伝子発現の変化について網羅的に解析する。また、神経細胞の機能に関わるタンパク質の機能的変化を解析する。本研究により、感覚を失った場合に生じる脳の適応力、もしくは従順さのメカニズムの一端を解明することになる。
|
研究成果の概要 |
視覚喪失による一次聴覚皮質への影響を、機能的及び細胞形態的に検討するとともに、個々のニューロンにおける遺伝子発現変化の網羅的検証および皮質層網羅的検証を試みた。一次聴覚皮質第4層の興奮性ニューロンにおける内因性膜特性や活動電位の発火特性については、有意な変化は観察されなかった。しかし、ニコチン性制御において、抑制性ニューロンでの視床皮質系シナプスの変化を発見し、ニューロン形態をもとにした解析が必要であることも明らかとなった。また、単一ニューロンにおけるmRNA発現の網羅的解析は、技術的問題が生じ、今後改善が必要となるが、皮質層網羅的な遺伝子発現検証を行う手法を確立できた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一次聴覚皮質第4層興奮性ニューロンへの興奮性シナプス入力における視覚喪失による影響は先行研究で報告されていた。本研究で、そのニューロンの膜特性自体への影響が観察されなかったことから、主にそれ以外のニューロンでの生物学的変化が示唆された。そのため、今回確立した皮質層網羅的な遺伝子発現解析方法は、クロスモード可塑性の学術分野に貢献するものと考える。また、視床皮質系神経回路における、新たなニコチン性制御機構の解明は、認知機能に重要なコリン作動性制御機構の理解に一石を投じるものである。こうした大脳皮質における可塑的、機能的制御機構の解明は、認知症における新たな治療法の確立に寄与すると考える。
|