研究課題/領域番号 |
19K07057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
室冨 和俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40635281)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 一重項酸素 / 活性酸素種 / 炎症 / NASH / 酸化ストレス / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 脂肪肝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生体内における一重項酸素の機能を探求し、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症に一重項酸素が関与するのか、という仮説を検証する。一重項酸素は生体内での検出が困難であり、その機能や発生メカニズムの詳細は不明であった。申請者らは独自の脂質酸化物分析法を用い、NASHモデルマウスの血中で一重項酸素特異的に産生される脂質酸化生成物が上昇することを発見し、一重項酸素がNASH発症に関与する可能性を見出した。本研究では、一重項酸素の新たな機能を解明すべく、①細胞内発生メカニズム、②一重項酸素発生による細胞応答、③NASH発症に及ぼす一重項酸素の影響、について研究を遂行する。
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研究成果の概要 |
本研究では活性酸素種(ROS)の一種である一重項酸素の機能や発生機序を探求し、NASH発症に一重項酸素が関与するのかという仮説検証を目的とした。一重項酸素の発生機序を解析するために、細胞内一重項酸素測定法の開発に着手した。その結果、市販の一重項酸素検出プローブSi-DMA等を用いた蛍光タイムラプスによって、細胞内の一重項酸素の定量に成功し、論文発表に至った。一方、NASH発症初期の脾臓におけるROS産生量は、正常マウスと同程度であったものの、サイトカイン産生量は正常マウスよりも顕著に増加した。以上の結果、脾臓由来の炎症性サイトカインがNASH発症に関与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、細胞内の一重項酸素を定量的に測定方法を開発することに成功し、成果を論文として社会還元することができた。当該測定方法を用いることで、体に悪影響を与えると考えられている一重項酸素を細胞の中で増加または消去可能か検証することができ、化粧品素材や食品機能性成分の開発に貢献できる。 さらに、NASH発症過程における脾臓の特性、具体的にはNASH初期段階の脾臓におけるROS産生量は正常な脾臓よりもわずかに増加する一方、刺激応答性のサイトカイン産生量は顕著に増加することを明らかにし、論文発表に至った。本成果は、NASH発症時の生体応答の一旦を示すものであり、NASH診断などへの応用が期待される。
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