研究課題
基盤研究(C)
近年、糖尿病等の生活習慣病は、免疫系の破綻に伴う慢性の持続性炎症を基盤として発症・進展することが明らかになりつつある。最近、申請者はイソリクイリチゲニン(ILG)が強いNLRP3インフラマソーム活性化抑制作用を持ち、高脂肪食摂餌糖尿病マウスの内臓脂肪組織の慢性炎症を改善しインスリン抵抗性を改善すること、また内臓脂肪組織線維化を抑制することを明らかにした。これらを踏まえ本研究では、ILGの標的分子を解明し、NLRP3インフラマソーム関連疾患である2型糖尿病やそれに関連する線維化疾患(非アルコール性脂肪性肝炎:NASH)の予防法や治療法の開発を目指す。
我々は、甘草成分イソリクイリチゲニン(ILG)がNLRP3インフラマソーム活性化阻害作用を持つことを見出してきた。本研究は、1. ILGのインフラマソーム抑制効果の作用機序の解明と、2. ILGのNASHモデルマウスでの有効性の検証を目的としている。1. ATPase活性を持つILGの標的候補タンパクについて、ILGとの結合性を示すデータを得た。また、ILGはATPとタンパクとの結合を阻害しなかった。ATPase活性への影響について継続して検討中である。2. CDAHFD摂餌誘導型のNASHモデルマウスにおいて、ILG混餌により組織学的に肝臓の線維化が部分的に抑制され、病態の改善が認められた。
今回我々はILGの標的候補タンパクを絞り込み、ILGとの結合性を示すデータを一部取得できた。今後さらに標的タンパクとしての妥当性を検証し、標的タンパクと同定することができれば、ILGの医薬品シーズとしての有用性にエビデンスが加わり、新たな創薬ターゲットを得ることができる可能性がある。NASHについては現在承認されている治療薬は存在しないことから、新たな創薬シーズとなる可能性がある。
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