研究課題
基盤研究(C)
新規抗がん薬の開発により、外来化学療法で取り扱う抗がん薬レジメンは増加する一方である。外来化学療法室の利用患者は年々増加し、多様なニーズに応えるがん薬物療法に習熟した医療者の関わりが重要となっている。がん薬物療法を専門とする医療者の育成、拡充にあたっては、専門的な教育・訓練とともに抗がん薬を扱う現場における医療者の安全、職場環境の整備も提唱されている。曝露防止のための機器開発が進む中で過去の報告は現状と乖離しており、医療者がコストと時間をかけてどこまで曝露対策を行うかの科学的実証は未確立である。本研究では、抗がん薬曝露の実態を経年的・経時的に調査し現状に即したエビデンスを創出する。
本研究では、がん薬物療法における抗がん薬曝露の実態を調査し、繰り返しモニタリングを行うことで、国内での閾値の設定や予防の根拠となるエビデンスを創出することを目的としている。当院外来化学療法室では、院内すべての点滴抗がん薬の外来投与を専任の医療者が担当している。年間10,000件以上の実施にあたり、職業性曝露のモニタリングを経年的に行った。新規薬剤の導入、併用レジメンの開発によって、がん薬物療法の現場で使用する対象薬剤や使用頻度は既報の状況とは大きく異なっている。本研究は最新のエビデンス創出に寄与した。
近年、関係学会による「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」が刊行され、職業性曝露対策が注目されている。一方で、新規抗がん薬の開発によって外来化学療法患者が増えるなかで、職業性曝露に対する取組みをコストと時間をかけて何をどこまで行うべきか科学的コンセンサスは不十分な状況である。本研究成果から環境モニタリングによる予防の意義を提唱した。がん患者が年々増加するなかで、多様化したニーズに対してがん薬物療法に習熟した医療者の関わりが重要となっている。がん薬物療法を専門とする医療者の育成・拡充には専門的な教育・訓練とともに、抗がん薬を扱う現場における医療者の安全、職場環境の整備に寄与する。
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月刊薬事
巻: vol.61 No.5 ページ: 74-78