研究課題/領域番号 |
19K07083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
満間 綾子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10467326)
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研究分担者 |
安藤 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (10360083)
下方 智也 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70612745)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | がん薬物療法 / 職業性曝露 |
研究開始時の研究の概要 |
新規抗がん薬の開発により、外来化学療法で取り扱う抗がん薬レジメンは増加する一方である。外来化学療法室の利用患者は年々増加し、多様なニーズに応えるがん薬物療法に習熟した医療者の関わりが重要となっている。がん薬物療法を専門とする医療者の育成、拡充にあたっては、専門的な教育・訓練とともに抗がん薬を扱う現場における医療者の安全、職場環境の整備も提唱されている。曝露防止のための機器開発が進む中で過去の報告は現状と乖離しており、医療者がコストと時間をかけてどこまで曝露対策を行うかの科学的実証は未確立である。本研究では、抗がん薬曝露の実態を経年的・経時的に調査し現状に即したエビデンスを創出する。
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研究実績の概要 |
本研究では、がん薬物療法における抗がん薬曝露の実態を調査し、繰り返しモニタリングを行うことで、国内での閾値の設定や予防の根拠となるエビデンスを創出することを目的としている。当院外来化学療法室では、院内すべての点滴抗がん薬の外来投与を専任の医療者が担当している。年間10,000件以上の実施にあたり、職業性曝露のモニタリングとして環境モニタリングと生物学的モニタリングの経年的実施を行う。
<環境モニタリング>当院外来化学療法室での環境モニタリングを行うにあたり、モニタリングの手法、場所を絞り込んだ後に、抗がん薬曝露予防を目的とした機器導入、マニュアルの改訂・整備の現状を把握できている。閉鎖式薬物移送システム(closed system drug transfer device: CSTD) は、当院において抗がん薬のミキシングすべてには使用していない。揮発性抗がん薬にのみCSTDを使用している。これまでの経年的モニタリング結果では既報と比較して汚染の度合いを示す測定値は低く推移しており、継続してモニタリングを進めている。 <生物学的モニタリング>外来化学療法室で実施する膀胱内注入後の抗がん薬曝露について、同意を得た患者および医療者の排尿より生物学的モニタリングを行う。ドキソルビシンの投与量、排尿回数など臨床薬理学的解析を加えて経時的変化を観察する予定であったが、昨年度同様、治療対象者が乏しい状況が続いている。
がん関連学会での情報収集を継続した。2023年3月、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会にて口頭発表を行っている。現地開催であり、発表の場では有用な質疑討論がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
環境モニタリングは順調に施行できている。新規薬剤の導入、併用レジメンの開発によりレジメン数は増えており、各がん種、個々の病状によって多様な抗がん薬治療が選択されている。COVID-19による診療体制の変化はあったが、外来化学療法室を利用する患者数は同程度で推移した。当初計画で予定した海外学会での発表機会はCOVID-19による診療体制の中では困難であった。オンラインでの学会参加と国内学会での現地発表となった。 昨年同様、生物学的モニタリングは対象患者が乏しい状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
生物学的モニタリングの対象となる泌尿器疾患の患者は昨年同様乏しいことが予測される。がん薬物療法は新たな治療法の影響によって治療方針の変更はあり得るため、今後も対象患者があった場合には対応する。 環境モニタリングは順調に遂行できており、学会発表や情報収集により得られた成果をふまえて論文化し発信する準備を進めている。新規薬剤の導入、併用レジメンの開発によって、がん薬物療法の現場で使用する対象薬剤や使用頻度は既報の状況とは大きく異なっている。従って、引き続き本研究の推進の価値があると研究代表者および研究分担者は一致している。今後も定期的に研究代表者および研究分担者間で意見交換を行い、研究の推進に努める。
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