研究課題/領域番号 |
19K07104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田辺 光男 北里大学, 薬学部, 教授 (20360026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 掻痒 / KCNQチャネル / 抑制性 / 疼痛 / 脊髄 |
研究開始時の研究の概要 |
痛みやその慢性化の先行研究から、鎮痛薬開発のターゲット候補分子が提案されてきたが、痛みも痒みも共に慢性化には神経の可塑的変化が重要であり、掻痒治療薬開発の上でも共通のターゲット分子が存在する可能性がある。神経伝達や神経可塑性には、多様なイオンチャネルが関与する。中でも、KCNQ カリウムチャネルは、その開口薬が慢性疼痛モデル動物で鎮痛作用を示す。本研究では、様々な急性および慢性掻痒モデルを用い、掻痒治療におけるKCNQチャネルの特性を明らかにする。さらに、これを基に、慢性掻痒モデル動物から脊髄スライスを作製し、シナプス伝達を指標にKCNQチャネル開口による痒み抑制メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、マウスのneckモデル、cheekモデルおよびcalfモデルを用い、KCNQチャネル開口薬retigabineがヒスタミン依存性および非依存性の急性掻痒を抑制することを明らかにした。特にcalfモデルにおいて、掻痒シグナルが入力する腰部脊髄にretigabineを投与することにより痒みを反映するbiting行動が抑制されたことから、脊髄が重要な鎮痒作用部位であることが示された。しかし、retigabineの鎮痒作用はKCNQチャネル遮断薬XE-991で拮抗されなかったことから、retigabineはKCNQチャネル開口に依存せずに鎮痒作用を示すことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
掻痒治療では、従来から皮膚病変や免疫機能異常に焦点を当てた治療が行われてきたが、既存薬に抵抗性を示す難治性掻痒が存在する。慢性掻痒は、アトピー性皮膚炎や慢性腎肝疾患など抗ヒスタミン薬抵抗性の難治性疾患である。近年、痒みを伝達する神経機構の解明が急速に進み、脊髄後角での痒み特異的経路の存在が明らかになっている。痒みも痛みと同様に慢性化には神経の可塑的変化が重要であることから、中枢神経を標的とした鎮痛薬が鎮痒作用も併せ持つ可能性がある。脊髄後角を作用点とする鎮痒薬は今までにない新しい機序の掻痒治療薬となる可能性がある。
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