研究課題
基盤研究(C)
歯は、生活の質を左右する極めて重要な器官である。歯の形成は歯原基のパターン形成に始まり、上皮間葉相互作用を介した複雑な形態形成を経て完成し、一部の上皮細胞は組織幹細胞として維持される。しかしながら、歯の形成における細胞動態や幹細胞の制御機構は未だ不明の点が多い。申請者は、SIX1 転写因子がマウス切歯上皮幹細胞と中間増殖細胞に強発現すること、Six1欠損マウスでは切歯上皮プラコードの前後極性が消失することを見出した。本研究では、歯の初期形態形成と成体での歯の維持機構の解明を最終目標として、切歯原基の細胞動態制御および歯上皮幹細胞の維持・分化におけるSIXファミリー転写因子の役割に焦点を当てる。
本研究では、マウス上顎下顎形成および切歯形成におけるSIXファミリー転写因子の機能重複性を検証した。Six1/Six4二重欠損ホモ胚では上下顎原基が低形成であり、切歯は下顎のみで欠損した。Six1/Six2/Six4 三重欠損ホモ変異胚では上顎が全く形成されなかった。また、Six1/Six4二重欠損ホモ胚の下顎切歯形成領域の組織を用いたRNAシークエンスにより、下流制御遺伝子を解析した。2915 の発現変動遺伝子のうち、下顎間葉細胞で顕著に発現が減少する遺伝子としてAlx1、 Masp1、舌筋前駆細胞で顕著に発現が減少する遺伝子として、Nkx2.5、Lbx1、Ckmt1を同定した。
歯は、生活の質を左右する極めて重要な器官である。歯の形成は歯原基のパターン形成に始まり、上皮間葉相互作用を介した複雑な形態形成を経て完成し、一部の上皮細胞は組織幹細胞として維持される。しかしながら、顎および歯の形成における細胞動態や幹細胞の制御機構は未だ不明の点が多い。本研究で明らかにしたSIX1による下顎原基の前後極性制御、SIX1/SIX4による下顎切歯の分化制御と下流制御因子の同定、さらに、SIX1/SIX2/SIX4による上顎形成の新規制御機構は、哺乳類顔面形成の分子細胞機構の理解において学術的に意義があり、顔面形成疾患の発症機序の解明につながると考えられる。
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Journal of Comparative Neurology
巻: 529 号: 16 ページ: 3655-3675
10.1002/cne.25215
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