研究課題
基盤研究(C)
脳内の速い興奮性シナプス応答を担うAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)は、4つのサブユニットで構成された膜分子複合体である。しかし、サブユニット構成の異なるそれぞれのAMPARが、機能的に区画化された神経細胞の細胞膜上にどの様に分布して機能を支えているかについては、複合体のサブユニット構成を1分子レベルで調べる方法が無いため不明である。膜分子の分布を高い空間分解能と感度で可視化できるSDS処理凍結割断レプリカ標識法(SDS-FRL法)を改良して、神経細胞膜上に発現するAMPARのサブユニット構成を同定し、サブユニット構成の異なるAMPARの膜上分布を明らかにする。
AMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)は、4つのサブユニットで構成された膜分子複合体で、構成するサブユニットの違いによりその応答特性やシナプス可塑性における役割が異なる。しかし、1分子レベルでサブユニット構成の異なるAMPARを脳内で調べる方法は無かった。我々はAMPARを構成するそれぞれのサブユニットに異なるエピトープタグ(E-tag)を導入したマウスの作製を行い、SDS-FRL法と抗原賦活化法を組み合わせることにより、2xHA-GluA2マウスにおいて抗HA-tag抗体によりGluA2を含むAMPARの検出を可能にした。
細胞の外と内の境に存在する細胞膜には、細胞の機能と深く関わる膜分子複合体が発現している。この膜分子は幾つかの部品から構成されていることが多く、同じ分子であっても構成する部品が異なると機能も変化する。しかし一つ一つの分子は小さく、1分子レベルで部品の構成を調べる方法が無かった。本研究では膜分子複合体であるAMPARを標的にして、部品構成が異なるAMPARを識別する方法論の確立を行った。本法の応用範囲は広く、多くの生命現象の素過程を支える分子メカニズムを膜分子複合体の多様性と特異性の観点から解明することに繋がる。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
Neurobiology of Disease
巻: 163 ページ: 105602-105602
10.1016/j.nbd.2021.105602
J. Neurosci.
巻: Online ahead of print 号: 22 ページ: 4795-4808
10.1523/jneurosci.0367-20.2021
Frontiers in Genetics
巻: 12 ページ: 748627-748627
10.3389/fgene.2021.748627
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 号: 11 ページ: 5867-5867
10.3390/ijms22115867
生化学
巻: 92(6) ページ: 844-849
40022454321