研究課題/領域番号 |
19K07267
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 圭祐 神戸大学, 医学研究科, 助教 (10575468)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | シュワン前駆細胞 / 自律神経系 / Phox2B / 神経芽腫 / 交感神経系 / Phox2b / single cell RNA sequence / 交感神経節 / Notch / Phox2b 3'UTR / bipotential progenitor |
研究開始時の研究の概要 |
我々は最近、交感神経線維に随伴するシュワン前駆細胞が、自律神経分化能の指標であるタンパク質・Phox2Bを発現することを発見した。また生体内において、これらが肢芽に内在する未知の細胞群を形成している可能性を発見した。しかしこれら細胞の発生起源や動態、およびその生理機能は依然不明である。さらにこうした細胞が、体内の別の組織構築にも寄与しているのかどうかも不明である。本研究はこれら交感神経随伴シュワン前駆細胞に着目し、その遺伝学的系譜解析や各種変異マウスにおける表現型解析、マイクロアレイ解析などを通して、これら細胞が組織構築に果たす役割およびその分子基盤の解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
シュワン細胞の前駆細胞(Schwann cell precursor; SCP)は、発生期にシュワン細胞だけでなく自律神経細胞を含めた様々な細胞種に分化することが示されている。しかしその全身における分布や分子基盤は明らかになっていない。本研究で我々は四肢に投射する神経や横隔神経で、交感神経節細胞から派生したSCPが自律神経様細胞になる事を発見した。また一遺伝子の遺伝子量減少により、これら自律神経様細胞が劇的に増加する事も発見した。神経芽腫誘導変異下においては、更なる細胞増加が認められ、SCP由来神経新生が遺伝子量の変化や腫瘍誘導変異に高い感受性を示す事が明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
長い解剖学・組織学の歴史において、四肢動物の肢芽に自律神経の細胞体が存在する事を記載した例はない。本研究はその歴史を塗り替え、肢芽内に自律神経様の細胞体が確かに存在し、これらが交感神経節から派生したSCPを起源とするという、全く新しい知見を創出した。また一遺伝子量の減少という普遍的現象が、肢芽内自律神経様細胞を劇的に増加させることも発見した。神経芽腫モデルマウスにおいては更なる増加を認め、SCP由来神経新生が遺伝子量の変化や腫瘍誘導変異と密接に関連することを証明した。この肢芽内自律神経様細胞が異常産生される仕組みを解明することで、神経芽腫新規治療法の確立に波及することが期待できる。
|