研究課題/領域番号 |
19K07410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高木 清司 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80595562)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳癌 / アンドロゲン / 腫瘍免疫 / リンパ球 / 液性因子 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
免疫療法はがんの新たな治療法として脚光を浴びているが、免疫療法の奏功性を左右するのはがん組織にどの程度の免疫細胞(リンパ球)がいるか、である。乳癌の多くは性ホルモン依存性腫瘍であるが、これらは概してリンパ球の浸潤が少ない。そこで我々は「性ホルモンがリンパ球の浸潤を抑制して、免疫逃避(リンパ球からの攻撃を逃れること)を成立させているのではないか」と考えた。 本研究では培養細胞や動物モデルを用いて性ホルモン、特にアンドロゲンがリンパ球浸潤を調節し得るかどうか、そしてその臨床的意義を解明し、乳癌のがん免疫療法の奏功性を高めるための知見を得ることを目的とする。
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研究成果の概要 |
乳癌組織で合成されるアンドロゲンが腫瘍組織中に浸潤するリンパ球に与える影響について病理組織学的に解析を行った。乳癌細胞におけるアンドロゲン受容体の発現とリンパ球浸潤、特にCD3陽性T細胞の浸潤の間に逆相関が認められ、この傾向はアンドロゲン合成酵素である5alpha-reductase type 1 (5alpha Red1)陽性症例において特に顕著であった。一方、5alpha Red1自体はリンパ球浸潤と有意な関連性を示さなかった。 以上のことから、乳癌細胞にアンドロゲンが作用し、リンパ球の遊走を制御する因子の発現が誘導されて乳癌組織へのリンパ球浸潤が抑制される可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳癌は代表的な性ホルモン依存性腫瘍であるが、乳癌における男性ホルモン(アンドロゲン)の役割は未だ十分に解明されていない。我々は今回、腫瘍免疫という観点から乳癌におけるアンドロゲン作用を病理学的に解析し、アンドロゲンが乳癌組織のリンパ球浸潤を負に制御する可能性を見出した。腫瘍組織に浸潤するリンパ球を賦活化するがん免疫療法の発展が目覚ましい今日において、本研究は乳癌におけるがん免疫療法の奏功性の予測に貢献するものと考えられた。
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