研究課題/領域番号 |
19K07446
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山崎 一人 帝京大学, 医学部, 教授 (60302519)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 卵巣 / 明細胞癌 / フェロトーシス / cystathionineγ-lyase / GPx4 / グルタチオン / 卵巣癌 / 明細胞腺癌 / NRF2 / KEAP1 / 抗酸化ストレス / 低酸素ストレス / 電子伝達系 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,卵巣子宮内膜症の上皮が低酸素状態に陥りやすいことに着目し,この環境下において低酸素に耐性な代謝経路を有するciliated cell由来の発癌が明細胞腺癌となり得ることを検証する.また,明細胞腺癌が電子受容体としてα-ケト酪酸を用いていることを検証し,α-ケト酪酸を産生酵素であるcystathionineγ-lyase (CTH)の活性亢進が低酸素状態に有利な特異的な呼吸代謝機構を構築していることを検証する.加えて,明細胞腺癌においてこれらの代謝経路の阻害が抗腫瘍効果を示すことを検証する.
|
研究成果の概要 |
卵巣原発明細胞癌におけるフェロトーシス耐性因子の発現を免疫組織学的に検索し,グルタチオン産生に必要な(Cystathionine γ-lyase, CTH)と,グルタチオンを基質として細胞膜脂質の酸化を抑制し得る(Glutathione Peroxidase 4, GPx4)の発現亢進を認めた.CTHの発現亢進にはKEAP1の失活が関与しており,KEAP1遺伝子プロモーター領域のメチル化とコード領域のミスセンス変異によるものと推察された.卵巣明細胞癌株へのシスチントランスポーター、CTHの不可逆的阻害剤,GPx4の酵素活性阻害剤の投与は,いずれも膜脂質の酸化を亢進させ,細胞の増殖を抑制した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣明細胞癌においてはGST依存性のフェロトーシス耐性が亢進しており,その要因としてGSTの合成に必要なCTH,GSTを基質として細胞膜脂質の酸化を抑制し得るGPx4の発現が亢進していることが示唆された.明細胞腺癌は化学療法に対する感受性が低く進行例の予後は不良であり,標準化学療法であるTC療法との組み合わせを含めた分子標的治療の有用性の検証が求められている.本研究の内容は卵巣明細胞癌の特異的な生物学的特徴である内膜症性嚢胞由来,酸化ストレス耐性,化学療法抵抗性の裏付けとなるものであり,従来の化学療法とフェロトーシス耐性因子阻害剤の併用投与の有用性を示唆するものと考える.
|