研究課題
基盤研究(C)
本研究は、組織での浸潤の証明にこだわらず、細胞診という臨床に即した手段で、腫瘍抑制遺伝子のホモ/ヘミ欠失あるいは変異による蛋白発現欠失を検出し、細胞の腫瘍性を証明しようという試みである。すでにこれまでの諸家による研究によって、スクリーニングにおいて中皮腫を疑うべき形態学的特徴はほぼ確立している。それをさらに遺伝子変異あるいはそれに関連する変化によって確定させ、早期診断、早期の治療開始に導こうという試みである。さらにそれをFISH施行可能施設(基幹施設)と免疫染色のみを施行できる施設に分けて、それぞれで最適の診断手段(遺伝子変異関連)の組み合わせを検討し、提唱するというものである。
胸膜中皮腫の約80%は胸水にて発症するので、その細胞診による腫瘍細胞の検出は重要だが、中皮腫vs反応性中皮細胞の鑑別は時に困難である。本研究では、細胞診材料(セルブロック)においても、中皮腫の遺伝子変異の応用によって、その腫瘍性が確認でき、反応性中皮細胞との鑑別が可能となること、免疫染色のみならずFISHも応用できる施設ではその診断感度を100%近くまで上げることができることを示した。
本研究にて、中皮腫の遺伝子変異に基づいたアッセイ(BAP1免染、MTAP免染、CDKN2A/p16 FISH)は組織標本のみならず細胞診標本(セルブロック)にも応用可能で、特にその併用(組み合わせ)によって高率に、対象となる中皮細胞の腫瘍性を示すことが明らかとなった。更にNF2 FISHを組み合わせると特異度100%はそのままに100%近い診断感度をもたらすことができる。高齢者における中皮腫発生が増え、免疫チェックポイント阻害薬併用による治療が第一選択となることを考慮すると、この細胞診による診断の学術的・社会的意義は大きい。
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