研究課題/領域番号 |
19K07529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
長田 良雄 産業医科大学, 医学部, 教授 (80282515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 寄生虫 / 免疫修飾 / 関節炎 / 住血吸虫 / 旋毛虫 / Th2 / Th17 / 肝蛭 / マラリア原虫 / 条虫 / 衛生仮説 / 蠕虫 / 自己免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、先進国ではアレルギー疾患あるいは自己免疫疾患の増加が報告されている。その原因を説明する有力な仮説が、衛生状態向上に伴う感染症の減少によってヒト本来の免疫システムの変調が起こり免疫疾患が増加したという説(衛生仮説)であり、これを支持する証拠も蓄積しつつある。多くの研究グループが様々な寄生虫の免疫・炎症性疾患に対する抑制効果について解析を行ってきたが、そこで解明された機構の普遍性についてはほとんどわかっていない。本研究では複数の寄生虫が同一の疾患モデルに抑制作用をもつ場合に、その抑制機構がどの程度共通しているのか、という点を遺伝子組換えマウスを用いた感染実験で明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
1. マンソン住血吸虫(Sm)や旋毛虫(Ts)の感染はいずれもマウスコラーゲン関節炎(CIA)において抗コラーゲン抗体の産生を抑制するが、その関節炎抑制効果に対する寄与は明らかでない。今年度は両寄生虫の感染マウスの経時的採血を行い、関節炎重症度と抗体価の相関について解析した。両寄生虫ともCIAの足肢腫脹を有意に抑制したが、Tsではその効果が後期(8-9週)では消失した。非感染群においては、発症初期(5-7週)では関節炎重症度と抗コラーゲンIgG抗体価の相関は強かったが、後期(8-9週)では低下した。これに対しSm感染群では、両者の相関は実験期間を通じて高い傾向がみられた。対照的にTs感染群では抑制効果のみられる初期には非感染群よりも相関係数が低かった。Smでは感染によりIL-17などの炎症性サイトカインの産生を抑制することが分かっており、その結果として残存する足肢腫脹と抗体価の相関度が高くなっている可能性が推察された。一方Tsでは炎症性サイトカイン産生抑制効果はあまりないことが以前の研究で判明しており、それを考えあわせると主に抗体産生が抑制されることにより関節炎が抑制された結果として相関度が低くなっていると考えられた。
2.SmとTsについて関節炎抑制作用における好酸球の関与を検討するため、IL-5KOマウスで感染およびCIA発症実験を行った。IL-5KOマウスではSmによるCIA抑制作用は消失したが、TsによるCIA抑制作用は野生型マウスと変わらなかった。このことから、Tsとは異なり、Smの関節炎抑制作用における好酸球の関与の可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KOマウスの戻し交配と繁殖に時間がかかり、実験の開始が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初使用予定だった肝蛭については、関節炎抑制効果の再現性が不十分であったので使用を断念した。住血吸虫による関節炎抑制において好酸球の必要性が考えられたので、次年度はこの点に絞って研究を進める。IL-33KOマウスとSTAT6KOマウスを用いて、好酸球の誘導および関節炎抑制におけるILC2およびTh2の関与について解析する。
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