研究課題/領域番号 |
19K07693
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 (2021) 宮崎大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
中畑 新吾 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (80437938)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 成人T細胞白血病 / 成人T細胞白血病リンパ腫 / ATL / HTLV-1 / 成人T細胞白血病・リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトT 細胞白血病ウイルス1 型 (HTLV-1)はCD4+ヘルパーT細胞に感染し、長期の潜伏後、HTLV-1キャリアの約5%のみが成人T 細胞白血病 (ATL)を発症する。なぜ5%のHTLV-1キャリアのみがATLを発症するのか、その時空間的な発生機序は明らかでない。ATL患者の網羅的な腸内細菌叢解析を行った所、ATL患者に共通の腸内細菌叢異常が存在することを見出した。腸内細菌叢の乱れは腸管免疫や代謝異常に繋がり、慢性炎症反応あるいは免疫異常によるHTLV-1感染T細胞の癌化を促進する機構となりうることから、本研究では、腸内細菌叢を介したATL発癌機構を明らかにし、発症予防法の開発に繋げる。
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研究成果の概要 |
腸内細菌叢は、腸管免疫や代謝産物を介して宿主の恒常性維持に重要な働きをもつ。本研究では、腸内細菌叢の変化がATLの憎悪のリスクファクターとなりうる可能性を初めて証明した。健常者と比べてATL患者で有意に増加する細菌群の同定に成功し、腫瘍マーカーとして知られるsIL2Rと相関する細菌群を見出した。さらに、HTLV-1キャリアで増加している細菌群から、HTLV-1プロウイルス量と相関する細菌が存在することがわかった。また、ショットガンメタゲノムデータの解析から、ATL患者において腸内代謝異常が起こっている可能性を示唆する結果が得られ、ATLの病態形成に関わる可能性が推測された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によってATL患者における腸内細菌叢の動態が初めて明らかになり、ATL患者の代謝や免疫機能にも関わる可能性を見出した。つまり、ATLの病態形成における宿主環境因子としての腸内細菌叢の関与が明らかになり、ATLの病態解析の一助となるものと考えられる。さらに、ATL発症予測マーカーとなりうる腸内細菌を同定できたことは、これまでなし得なかった発症予測診断や発症予防法の開発につながるものと期待している。今後、ATLの病態における腸内細菌叢の役割を解明し、臨床応用に繋げていきたいと考えている。
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