研究課題/領域番号 |
19K07697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
椎崎 一宏 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20391112)
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研究分担者 |
生田 統悟 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | AhR / IDO / IL-6 / 免疫寛容 / キヌレニン / RAG2 / Kynurenine / 盲腸発がん / AhRリガンド / RAG-2 / 胎児免疫寛容 / RAG-1 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイオキシン受容体として発見されたAhRは、毒物に対するセンサーという働きだけでなく、免疫の調節を担っていることが明らかとなった。特にAhRの免疫抑制の調節作用は、胎児に対する免疫寛容やアレルギー、膠原病、さらにはがん治療にも関係すると考えられる。本研究ではAhR欠損マウスにみられる胎児死亡や盲腸発がんがAhRが担うべき免疫寛容の破綻によるものと仮定し、それを遺伝子改変動物を用いて証明することを第一の目標とする。さらにAhRが薬物制御が可能な転写因子であることに着目し、生体内分子をはじめとした安全な物質による免疫制御やがん治療の可能性を探索する。
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研究成果の概要 |
AhRは外来化学物質センサーだけでなくがんの免疫逃避に関わる可能性がある。AhR遺伝子欠損マウス(AhR-KO)で起こる盲腸での発がんが免疫寛容の破綻によるものと考え、免疫不全を示すRAG2欠損マウスと炎症性サイトカインIL-6欠損マウスとの二重欠損マウスを作出したところ、RAG2/AhR二重欠損マウスでは盲腸発がんは生じず、IL-6/AhR二重欠損マウスでは盲腸発がんが見られた。免疫寛容に関与するキヌレニンはAhRで転写制御されるIDOが律速酵素となり産生される。B16F10メラノーマ細胞のAhR欠損細胞株を作成し、マウスで担癌実験を行ったところ、肺転移病巣数の有意な減少が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん免疫療法は最新の画期的がん治療法である一方で高額なうえ、効果は患者によって異なる。この原因はがんの免疫逃避能の獲得が一因と考えられる。このがん免疫逃避機構にはIDOおよびAhRが関与していると考えられ、本研究で着目したAhRの免疫寛容およびがん免疫逃避機構の解明が進めば、新たな免疫療法補助剤の開発が期待できる。AhRはリガンド依存的転写因子であることから、比較的低分子の化学物質によって制御が可能であるため、作動薬の開発が可能である。さらに本研究で使用したAhR-KOマウスへの遺伝子改変メラノーマ細胞の担癌実験は、AhR作動薬を開発するうえでの重要なin vivo実験系になると考えられる。
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