研究課題/領域番号 |
19K07805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
甲斐 信行 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50301750)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 社会的動機づけ / 社会性記憶 / 捕食者 / ドパミン / セロトニン / 前嗅核 / 快情動 / 条件づけ場所嗜好性 / 海馬 / 記憶の上書き / 記憶固定化 / フェロモン / カイロモン / 非言語コミュニケーション / 敵対行動 |
研究開始時の研究の概要 |
コミュニケーションは社会生活に必須の要素だが、相手の情報を受け取った個体がコミュニケーションを成り立たせるために自らの行動を変化させて相手を記憶する社会的動機づけが、どのようにして形成されるのかはまだ研究が進んでいない。本研究は、ラットの嗅覚に関わる前嗅核を含む神経回路の働きが、相手を忌避する社会的動機づけと社会性記憶の形成にどのような影響を及ぼすのかを、光刺激を用いた神経活動操作法や神経回路標識法を用いて明らかにする。本研究により、非言語性のコミュニケーションに基づく意思決定や記憶形成のメカニズムの一端が明らかになり、協調や反発などの社会性行動が生み出される過程の理解が進むことが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究ではラットを用いて、社会的動機づけと社会性記憶の形成に役割を果たすモノアミン神経伝達回路の解明に取り組んできた。その結果、セロトニン神経の破壊とドパミン補充の両方の処置を受けたラットが他の個体に対して、捕食者に示す反応に似た強い忌避行動(ジャンプや逃走)を示す神経回路基盤を明らかにして、セロトニンやドパミンで修飾される前嗅核腹側尾部の神経活動が、同種個体を忌避する異常な社会的動機づけを司ることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
コミュニケーションの際に個体が相手からの情報をもとに自らの行動を変化させたり相手を記憶しようとしたりする社会的動機づけが形成されるメカニズムは不明である。 本研究では、社会的動機づけや社会性記憶を形成する脳の内的状態が外部刺激の影響により変化する仕組みを明らかにする目的の下で、ラットの嗅覚を介したコミュニケーションに関わる神経回路において感覚受容の一次中枢(嗅球)と情動に関わる脳領域(視床下部の乳頭体前核)の間に位置する前嗅核が、同種個体を忌避する異常な社会的動機づけを司ることを見出した。本研究により社会的動機づけがコミュニケーションと社会生活に果たす役割の一端が明らかとなった。
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