研究課題/領域番号 |
19K07861
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
惠 淑萍 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90337030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミトコンドリア機能 / 酸化ストレス / フラジン / 脂質代謝 / 脂肪滴 / Keap1-Nrf2 / 酸化 / カルジオリピン / コレステリルエステル / 腎症発症メカニズム / 糖尿病性腎症 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、糖尿病性腎症Ⅰ期患者尿において多価不飽和型コレステリルエステル(CE)が非糖尿病性腎疾患患者尿より増加することを見いだした。また、高脂肪食負荷マウスにおいて、脂肪滴(LD)が腎皮質に蓄積し、同領域のカルジオリピン(CL)が減少することを見いだした。CLはミトコンドリアの易酸化性リン脂質である。
本研究課題では、培養ヒト近位尿細管細胞と糖尿病性腎症モデル動物を用いて一連の実験を行い、食品・天然物から発見した数種のKeap1-Nrf2活性化物質(細胞の抗酸化酵素群を活性化する)を実験系に加え、糖尿病性腎症予防物質としての可能性と作用メカニズムを探る。
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研究実績の概要 |
酸化ストレスによるミトコンドリア障害は、急性腎障害の進行と慢性腎疾患への移行において重要な役割を果たすことが知られている。 細胞に酸化ストレスを負荷すると細胞のカルジオリピン(CL)の減少と過酸化CLの増加が起こる(Chen, Hui, et al. Anal Bioanal Chem 409, 2017)。CLは二つのリン酸基と四本の脂肪鎖を有するリン脂質の一種でありミトコンドリア膜に特異的に存在している。CLは電子伝達系のアッセンブリを支えており、その酸化や減少はミトコンドリア機能障害を惹起する。食品由来の生理活性成分は、腎臓病の栄養補助食品療法において長期にわたって注目されてきたがその効果およびメカニズムは不明である。 令和4年度は、食品由来の生理活性物質Aが酸化ストレス下の腎尿細管上皮 (HK-2) 細胞に対するミトコンドリアの改善効果とその機序について検討した。 生理活性物質Aは、活性酸素種のレベルを低下させ、ミトコンドリア依存性アポトーシス遺伝子の発現を減少させ、抗酸化遺伝子の発現を増加させることにより、酸化ストレスによる細胞死から HK-2 細胞を保護した。 なお、生理活性物質Aは分裂/融合関連遺伝子の発現を調節することにより、ミトコンドリアの分岐構造を回復し、長さとネットワークサイズを増加させることにより、ミトコンドリアのダイナミクスを改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当ラボでは、腎尿細管上皮 (HK-2) 細胞の培養技術及びミトコンドリア機能の測定技術等が既に確立されており、本研究課題が概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHK-2細胞を用いて、生理活性物質Aが細胞ミトコンドリア膜のカルジオリピンの生合成の調節と遺伝子発現およびATP産生との関係を検討する。
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