研究課題/領域番号 |
19K08021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
倉田 明子 広島大学, 病院(医), 講師 (30838769)
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研究分担者 |
吉野 敦雄 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (90633727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / オンライングループ認知行動療法 / 治療同盟 / 注意機能 / オンライン認知行動療法 / 破局視 / がんサバイバー / 予期不安 / fMRI / 認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がんサバイバーの慢性疼痛には、身体的・治療的要因のほか、再発への不安や死への恐怖、抑うつ、疼痛とがんの悪化の関連付け、破局視、選択的注意などの心理社会的要因が影響を与える。認知行動療法はこれらの心理社会的要因に作用する可能性がある。我々はがんサバイバーの慢性疼痛に関する神経科学的基盤、認知行動療法の効果とそのメカニズムの解明のため本研究を計画した。まず、乳がんサバイバーの慢性疼痛患者を対象とし、通常治療群と認知行動療法群の治療前後の疼痛および精神症状、社会機能、QOLの変化を調査する。また、認知行動療法前後の疼痛関連領域における変化を、情動疼痛課題を行いfMRIを用いて測定する予定である。
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研究成果の概要 |
新型コロナウイルス感染症により、特にがんなどの身体疾患患者は対面での認知行動療法が困難となった。そこでオンラインでの慢性疼痛グループ認知行動療法(以下CBT)の確立を目的に手順書を作成した。オンラインCBTを施行した12名中9名の質問紙を回収し、痛みの破局的認知、痛みの強さと感情的側面、抑うつ、身体活動のQOLで改善を認め、治療同盟も改善した。 慢性疼痛患者26名と健常者28名に対しAttention Network Test-Revision(ANT-R)、安静時fMRIを測定した結果、慢性疼痛患者における注意機能の障害と、左島皮質-左眼窩面前頭前皮質の機能結合性低下との関連が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オンラインでの慢性疼痛グループCBTの手順書を作成し、有効性を検証した。オンライングループCBTでは良好な治療同盟の構築と、痛みに対する破局的認知や、痛みの強さや感情、抑うつ、身体機能に関連するQOLの改善が示唆され、今後がんなど身体疾患を有する患者では通院の負担が少なく行えるメリットがあると考えた。 また、我々は慢性疼痛患者の安静時fMRIの結果からは、慢性疼痛患者における注意機能の障害が、左島皮質と左眼窩面前頭前皮質の機能結合性の低下と関連していることが示唆された。注意機能はCBTの治療効果に重要な影響を与えるため、今回得られた結果はCBTの神経科学的基盤解明の一端に寄与するものとなる。
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