研究課題/領域番号 |
19K08030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
小俣 直人 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (30334832)
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研究分担者 |
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統合失調症 / 双極性障害 / 社会的孤立 / 酸化ストレス / 病態生理 / 不安関連行動 / 統合失調症様行動 / うつ様行動 / 神経可塑性 / 亜鉛欠乏 / 脳組織 / 抗酸化酵素 / 免疫染色 / 64Cu-ATSM / オートラジオグラフィー / 単一精神病論 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症や双極性障害の病態はいまだ不明であるが、近年の研究から、両疾患における神経可塑性の障害や酸化ストレスの関与が指摘されており、さらにこれらは統合失調症でより顕著な傾向が認められる。社会的孤立は、酸化ストレスを介して神経可塑性を障害させる。本研究では、実験動物を用いて、社会的孤立の負荷期間が延長されるのに伴い、双極性障害様の行動を経て統合失調症様の行動に至るのかを観察する。本研究は、統合失調症や双極性障害といった内因性精神疾患の病態を一元的に解明していく突破口となることや、生物学的精神医学と、単一精神病論も論じられる精神病理学との架け橋となることが期待される。
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研究成果の概要 |
ラットに社会的孤立 (Social Isolation, SI) を負荷した。SI開始3、8および12 週間後に、オープンフィールド試験に引き続いてY字迷路試験を施行した。 オープンフィールド試験では、不安関連行動は飼育期間が長期化するにつれて増加する傾向を示し、SI開始3週間後と比べて12週間後では有意に増加していた。また運動量はコントロール群と比べて、SI開始8週間後においてのみ有意に増加していた。一方Y字迷路試験では、飼育期間が長期化しても短期記憶に有意な変化はなかった。 以上より、持続的なSIにより経時的な不安の増加と一過性の運動量増加が認められたが、短期記憶には変化は認められなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
あるストレスが持続的に負荷された場合、統合失調症や双極性障害に関連すると考えられる行動変化は、持続的に顕在化するものもあれば一過性に出現するものもあることが示された。従って統合失調症や双極性障害は、共通する病態を有しつつ後者から前者へと移行していく可能性があることが示唆された。 本研究により、いわゆる内因性精神疾患の新たな病態仮説が示されたことから、今後の新たな創薬に繋がっていく可能性もある。また、以前より精神病理学的な立場からは、精神疾患は一つの基本障害の増悪に伴って連続的に諸段階を呈すると説明される単一精神病論が論じられている。本研究は、この立場の生物学的な基盤を示したとも考えられる。
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