研究課題
基盤研究(C)
本研究は,うつ病の重症度を評価する目的で自らが開発したモンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度構造化面接をベースとして行った実際の面接場面で集積した録音データを用いて,申請者が定義した重症度評点,書き起こしたテキストファイルと音声ファイルの3点セットのデータとして抽出し,深層学習モデル用の学習データとして集積することによって試作したうつ病の重症度評点を推定するAI(人工知能)うつ病重症度評点推定機器を,実臨床で使用できるレベルにまで各項目の重症度評価の精度を高める手法として,臨床評価面接データの更なる集積による学習の強化以外に,精神科の臨床面接の分野でどのような工夫が必要であるかを検討する。
本研究はうつ病の重症度を客観的に評価するため,研究代表者らが開発したモンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度構造化面接の質問文をベースに人工知能での評価に適した回答が得られるように質問文を改良して,うつ病の重症度を推定するアプリケーションを開発した。深層学習モデル用データの集積,教師データと異なる評点が得られた設問文は回答を是正して学習用データに追加し、モデル学習を繰り返すとともに,アルゴリズムの改良や、質問文の改定,質問順序の変更,確認用質問文の追加などをくり返し行った。これらの改良と学習を積み重ねることによりうつ病重症度推定アプリで得られる評価の一致率は80%を越えるようになった。
近年めざましい進歩をとげ,徐々に実社会にその成果が導入されつつあるAI(人工知能)技術を精神科領域にまで広げ,うつ病の重症度評価をAI診断面接で行える寸前のレベルにまで到達していることを示したことが本研究における最大の研究成果といえる。現時点ではAI診断面接と精神科医による診断一致率がまだ十分とは言えないが,今後さらにさまざまな工夫と学習の積み重ねにより,評価精度が高められると,①うつ病の臨床試験での均一な評価が可能となる,②精神科専門医がいなくてもAIでの遠隔評価が可能となる,③評価面接アプリとしての活用も期待できる,等の可能性を秘めておりこれらの社会的意義は極めて高いと思われる。
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