研究課題/領域番号 |
19K08078
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10347560)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 社会性 / 孤立 / 内側前頭前野 / 錐体細胞 / 興奮性 / 橋 / 社会的隔離 / 前頭前野 / 社会経験 / 小脳 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの幼少期の社会経験は脳の発達に重要であり、その欠落は発達障害様の症状を生み出す。マウスを離乳後2週間1匹で飼育し社会的刺激を遮断すると、内側前頭前野第五層の低髄鞘化、社会性・前頭葉機能障害が生じて、第五層の特定の錐体細胞(PH cell)のみにおいて機能低下する。このPH cellは内側前頭前野から皮質下視床、線条体、橋などの皮質下に軸索を投射する。ここで社会経験の剥奪により、どこに投射するPH cellが特異的に障害されるかを電気生理学的手法にて調べる。特に社会性と関わる小脳へ中継する橋に着目する。障害される回路を構成する神経細胞の分子生物学的変化を同定し、薬物治療の開発につなげたい。
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研究成果の概要 |
マウスを幼若期に隔離飼育すると成体の内側前頭前野第五層において、特定の錐体細胞(過分極時にh-currentを生じることで特徴づけられる)の興奮性が低下することを我々はこれまでに示した。この特定の錐体細胞が皮質下の視床、線条体、橋などへ軸索を投射していることがわかっており、幼若期の隔離飼育がどの脳領域に軸索を投射する錐体細胞に対して影響するのかを調べた。幼若期の隔離飼育後に、視床、線条体、橋に軸索を投射する錐体細胞を判別し、電気生理学的記録を行った。健常群においても各投射先を持つ錐体細胞の電気生理学的性質が異なり、さらに隔離飼育することで橋に投射する錐体細胞において影響が生じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幼若期に社会的刺激を奪うことで発達異常がみられる神経回路の一つとして前頭前野-橋を提示することができた。橋は小脳への入力の中継として機能しており、これまで社会的機能との関係が報告されてきた小脳が、社会的刺激によって発達すると今回提示できた前頭前野-橋の回路の先にあるのではないかと考えられた。ヒトにおいて幼少期にネグレクトを受けたり、もしくは社会的接触が減少しやすい発達の問題(自閉症スペクトラム障害)を抱えていると、今回示した神経回路の発達が十分行われずに成長し、大人になってから社会性を中心とした脳機能障害を抱える可能性について提示できた。
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