研究課題/領域番号 |
19K08111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
藤田 真由美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (80580331)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 癌細胞の浸潤 / 癌細胞の転移 / 放射線抵抗性 / 細胞浸潤 / 放射線がん治療 / 浸潤細胞 / 放射線 / 浸潤 / 放射線抵抗性浸潤細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線癌治療をさらに発展させる為には、治療後の再発や浸潤、転移をいかに抑制できるかが重要である。申請者らは、放射線照射は大多数の細胞株の浸潤抑制に効果的であるが、特定の細胞株では放射線照射後に浸潤細胞の数が増加することを明らかにした。中でもPANC-1細胞では、細胞全体の中に「放射線抵抗性浸潤細胞」の集団が存在し、照射後にそれらが選択的に生き残ったために、全体として浸潤細胞の数が上昇していたことが示唆された。では、「放射線抵抗性浸潤細胞」とはどのような細胞なのか? 本研究では、放射線抵抗性浸潤細胞で重要なパスウェイやマーカー分子を調べ、これら細胞集団を効率良く殺傷または抑制する方法を提案する。
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研究成果の概要 |
我々はこれまでに、放射線は多くの癌細胞株の浸潤抑制に効果的であるが、PANC-1では細胞全体の中に「放射線抵抗性浸潤細胞」が存在するため、照射を受けてもそれら細胞が浸潤や転移のリスクになり得ることを示した。そこで本研究にてさらに7種類の乳がん細胞株を調べたところ、MDA-MB-468とSUM149にも浸潤細胞集団が存在することを見出した。しかしこれら浸潤細胞は放射線抵抗性ではなかったため、放射線で効率よく殺傷できる事が示唆された。さらにこの「高浸潤細胞」は全体の集団と比べ著しく解糖系に依存した代謝系を持つこと、そのため解糖系の阻害剤で「高浸潤細胞」の浸潤能を効率良く抑制できることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線癌治療をさらに発展させる為には、治療後の再発や浸潤、転移をいかに抑制できるかが重要である。我々はPANC-1を用いた研究から、細胞全体の集団の中には一部、顕著に浸潤能が高い「高浸潤細胞」の集団が存在することを明らかにしてきた。さらに細胞株によっては、それら浸潤細胞は放射線にも抵抗性を示すことも見出した。本研究では、このような治療においてリスクとなり得る「高浸潤細胞」で共通する重要因子を調べ、これら細胞集団を効率良く抑制する方法を提案した。この成果は、癌の浸潤・転移抑制剤の開発や、治療後の診断マーカーの開発にも役立つ成果であり、学術的意義や社会的意義が非常に高い結果であると考えている。
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