研究課題/領域番号 |
19K08117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (2022) 筑波大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
武居 秀行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任研究員 (20645452)
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研究分担者 |
榮 武二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60162278)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)
渡邉 祐介 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90582742)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリマーゲル線量計 / 陽子線 / 線量測定 / 線エネルギー付与 / 線量応答 / 複数回照射 / 線量に対する応答 / 陽子線治療 / 全脳全脊髄照射 / 線量分布測定 |
研究開始時の研究の概要 |
脳腫瘍の治療法の一つである全脳全脊髄照射は、脳全体と脊髄および脊髄液を標的とするため照射範囲が広く、特に長い予後が期待される小児患者では正常組織の被ばくによる有害事象が問題となる。陽子線を用いた全脳全脊髄照射は、その特性から正常組織への線量を大幅に低減することができるが、一方で高い精度が求められるため、線量分布検証を行い精度を担保する必要がある。正常組織の被ばく線量は、治療中または治療直後の放射線障害だけでなく二次発がんの要因となるため、予後の生活の質に関わる極めて重要な要素である。本研究では、ポリマーゲル線量計を用いて簡便かつ高精度に線量評価を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の4年目である2022年度は、ポリマーゲル線量計N-vinylpyrrolidone-based polymer gel (VIPET)の測定精度向上に関する研究を行った。線量測定は、照射後のVIPETのMR画像を取得し、横緩和時間(T2)の逆数であるR2を線量に変換することで行う。前年度までに、陽子線の局所的なエネルギー付与(線エネルギー付与、LET)が大きくなる下流側において、応答が低くなっていることが確認されていた。特にLETの変化が大きいビーム下流側では、LET依存性のため正確な線量測定が困難になる可能性があり、LETに対する応答補正を行うためモンテカルロシミュレーションにより詳細なLET分布を算出し、R2応答の低下とLETの関係を調べた。2022年度は、LETに対する応答の補正をより正確に行うため、さらに広範囲でのLETに対する応答特性について調査し、測定精度向上を図った。特に、LETが大きい領域での応答についてデータを取得するため、炭素線を用いた。炭素線は、陽子線照射時の標的内のLETが高くなるビーム下流側から飛程終端の高いLET領域を再現でき、さらに陽子線では実現できない高いLETのデータも取得可能である。本研究で問題となっているR2の応答低下が起きているLET領域について取得できるような炭素線の条件で照射を行い、MR画像を取得した。モンテカルロシミュレーションで照射した炭素線を再現し、得られた詳細なLET分布からR2応答の低下とLETの関係からLET依存性補正式を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度までのCOVID-19感染症対策による規制により、新たにポリマーゲル線量計を作成することが困難であったため、研究全体の進捗に影響が出ている。2022年度からはポリマーゲル線量計の作成が問題なく行えており、次年度も含めると当初計画していた目標は達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の期間は5年であり、2023年度は最終年度にあたる。2022年度までに基礎特性の取得を終了し、臨床使用を想定した測定精度の向上についての検討を行う。2022年度までは陽子線での測定において重要な課題である線エネルギー付与に対する応答の補正方法について検討を行っており、2023年度はこれを用いて臨床使用に近い条件で照射した場合の測定精度を評価する。 臨床使用を想定した検証では、実際の腫瘍を想定した標的形状を設定し、標的内の測定精度を評価する。腫瘍の大きさや形状によっては陽子線だけでなくX線と併用する場合もあるため、陽子線、X線、およびこれらの混合照射で測定精度が担保できていることを確認する。測定精度評価の基準は従来法であるGafchromic filmとする。また、標的内外の正常組織の臓器別線量を評価する。標的内の線量分布は、線量差と位置誤差(γ解析)、線量均一性について治療計画と比較検証する。標的外の線量分布は、臓器別に線量評価に利用する。
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