研究課題/領域番号 |
19K08149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90335034)
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研究分担者 |
中村 彰太 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20612849)
伊藤 信嗣 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50597846)
伊藤 倫太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (80813336)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 超高精細CT撮影 / 原発性肺癌 / PET/CT / 機能画像 / 人工知能 / 胸壁浸潤癌 / 肺癌 / FDG-PET / 超高精細CT |
研究開始時の研究の概要 |
原発性肺癌の臨床病期分類は胸部CTに様々な画像検査を組み合わせて決定され、最適な治療方針を決定する基盤情報である。しかし限られた空間分解能による形態診断の限界により病理病期分類との間に差を生じることがある。本研究では肺癌症例の膨大な画像・手術・病理データを活用し、浸潤性・予後に関連する超高精細CT、MRI、PETによる新たなバイオマーカー構築を探索し、これらを統合的に解析することで早期肺癌の予後予測の精度向上、次世代の肺癌病期分類改訂に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、肺癌症例の膨大な画像・手術・病理データを活用し、浸潤性・予後に関連する超高精細CT、MRI、PETによる新たなバイオマーカー構築を探索し、これらを統合的に解析することで早期肺癌の予後予測の精度向上、次世代の肺癌病期分類改訂に貢献することを目的としている。 名古屋大学医学部附属病院に超高精細CTが導入された2019年11月から2022年4月にかけて肺癌症例の超高精細CTを収集した。令和4年度はれまでの画像診断では診断が難しかった胸壁浸潤癌についてその超高精細CT画像所見を検討するため、胸膜・胸壁と接する77症例を選択し、その超高精細CT所見を検討した。その結果、胸壁に存在する肋間動脈由来の血管が腫瘍に分布する所見が認められた場合、胸壁浸潤癌である可能性が高いことを見いだした。この結果を2023年2月に開催された日本医学放射線学会第172回中部地方会で報告した。 またPET/CT、従来型高精細CT、マイクロCTについて画像・臨床データベースから抽出し、それらがTNM分類や予後に与える影響についてレトロスペクティブな解析を行っている。 Deep Learningを研究手法に取り入れ、5mm厚のcovnentional CT画像から0.6mm厚の高精細3次元CT画像を再構成する人工知能(AI)を開発した。このAIを使うと原発性肺癌のTNM分類のT因子に採用されている充実成分径について、空間分解能の低い5mm厚のCT画像においても高精細CT並みに計測できることを明らかにした。本研究の原著論文について英文雑誌に投稿中である。 超高精細CTによる胸壁浸潤癌の診断についてデータ収集が終了し、解析結果を第14回呼吸機能イメージング研究会、日本医学放射線学会第172回中部地方会、第82回日本医学放射線学会総会で口演発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
名古屋大学医学部附属病院に設置された超高精細CTにより肺癌症例の収集は順調に進んでいるが、もともと胸壁浸潤癌の頻度が低いのでその症例収集が当初の見込みより遅れてしまった。しかし2022年4月末までに目標症例数に到達したため、結果の解析を進めている。令和5年度中に研究成果を発表できる見込みである。 COVID-19の世界的流行に伴い、国内・海外学会が軒並み中止・延期もしくはオンライン開催となってしまったため、学会発表について十分に行えておらず、他の研究者とのディスカッションが不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度以降はDeep Learningを研究手法に取り入れ、5mm厚のcovnentional CT画像から0.6mm厚の高精細3次元CT画像を再構成する人工知能(AI)を開発した。このAIを使うと原発性肺癌のTNM分類のT因子に採用されている充実成分径について、空間分解能の低い5mm厚のCT画像においても高精細CT並みに計測できることを明らかにして、原著論文として英文雑誌に投稿中であり、2023年度中に受理されるように努力する。 また2023年度中に肺癌の超高精細CTによる胸壁浸潤の診断について論文化を進める。すでに研究結果は出ているので2023年度中に論文として公開できる見通しである。 COVID-19のパンデミックについて全世界で回復の兆しが見えており、学会活動が回復していくと思われるので積極的に学会に参加して研究成果の発表と研究者たちとのディスカッションを行う予定である。
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